05/20/07
生活保護激増の構造16(長寿社会2)
匿名性のおかげで、都会では生活が苦しくなった高齢者による生活保護申請が激増しているのですが、田舎の農家が相談に行くのは、見栄もあって(役所に知り合いが多いのです)なかなか難しいでしょう。
こういう社会では、申請がし難いのですから、プライバシ−と誇りがあって微妙ですが、そこを工夫して役所のほうから巡回して生活に困っていないか、申請を待たずに先回りするくらいの思いやりが必要です。
昔は現役から退くと、直ぐにも寿命を全うする時代でしたが、人生が全体に間延びしてきましたから、65才まで70才までといくら働いても、残された働けない期間が20年前後もあることが多いのです。
現在では労働期間中・・・壮年期に差し引きゼロに近い生活をしてきた階層にとっては、働けなくなった後には、国民年金だけで厚生年金(報酬比例部分)がない限り、いつかは生活保護に頼るしかなくなっているのです。
昔は、こうなる前には(引退後5〜6年で)死んでいたので、自分でも少しくらいはお金を持っていたし、仮に蓄えのない人でも子世代が親の死亡の直前に少しばかり(数年程度)面倒見ても、あるいは公的機関が生活保護支給しても大した問題ではなかったのです。
最後の数年の生活費(子供と同居している場合、食べる量は高が知れているでしょう)よりも葬式費用のほうが大きかったので、つい最近までの老人は、
「葬式費用だけは残しておかないと」
といって、簡易保険に加入している人が多かったものです。
こういう意識下で生きてきた今の60台以上の労働者では、70〜80〜90才になってからの生活費まで考えずに、生きてきた人が多いのです。
高齢者問題は、年金で面倒見切れないために、(繰り返し書いているように、国民年金は月額6万前後ですから、満期まで掛けた人でも、子供と同居以外には生活できません)生活保護の問題になってくるし、また保護が長びく問題でもあるのです。
以上見てきたように、高齢者の生活保護申請激増は個人の問題ではなく、高齢・長寿化と親子別居時代の到来による複合的・構造的な問題です。
中流の下以下の階層で年金が少ない人は、真面目に働いて来た人でも、老後は殆ど
(500万から1000万円前後持っていても、持ち家のない人では、家賃支払いと生活費の不足に補填しているだけでも、すぐに使い果たしてしまうのです。)
下層労働者の殆どが、生活保護に頼らざるを得ない社会になってきた以上は、こうれ一社個人の問題ではないのですから、生活保護の申請受理チェックを厳格過ぎないようにする必要があるでしょう。
生活保護受給者の激増は、景気の良し悪しとは関係がなく、モラルハザードの問題でもなく、高齢化社会の到来に年金制度が遅れてしまったことと親子同居時代でなくなったと言う構造的な問題なのです。世上言われるような市場経済化による、勝組・負け組社会が生活保護者を増やしていると言う問題でも有りません。
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