05/13/07

法定刑の細分8(刑法82)業務上過失致死傷害罪1

似た法律では、たとえば業務上過失傷害・・交通事故がその典型ですが、文字どおりいろんなパターンがあって、相手方の過失割合もいろんなパターンがあります。
しかし、刑法の条文では傷害罪同様にワンパターンで大雑把な規定しかしていません。

刑法
(業務上過失致死傷等)
第211条 業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。
《改正》平18法036
2 自動車を運転して前項前段の罪を犯した者は、傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

上記のとおりワンパターンですが、実際の業過事故の態様と結果は、(過失割合もいろいろですし受傷の程度もいろいろで)文字どおり千差万別です。
業過事故に付随して発生する民事の損害賠償では、裁判所にお任せと言うだけでは、世の中が進みません。
そこで、昭和40年代中ごろに倉田判事が工夫した表が出来て、これが発展して今ではみなさん御存知の東京3会の赤い本や日弁連の青い本になっているのです。
たとえば、出会い頭の事故にもいろんなパターンがあるなどの態様に応じて、細かな、過失割り合いの基準が出来ております。
何十ページにも及ぶ精細なものですが、この基準表に基づいて、保険会社や弁護士も、あるいは素人の人も示談交渉をしているのです。慰藉料なども、刑法的発想で言えば、
   「そんなの機械的に決められるわけがないだろう・・裁判所や警察に任せろ」
という分野でしょうが、これも表ができていて、これに具体的事情による、若干の修正をする程度で、この表に基いて和解が出来ているのが現状です。
同じことが、刑法で何故作れないかと言う意見です。
民事よりも、刑法の方が人権侵害の危険性が高いのですから、出来るだけクリアーにする努力を日々怠るべきではないでしょう。
もちろん基準表が法に高められても、その範囲内での当て嵌め・・裁量があるので、そこに職人芸の余地が残るのですが、出来るだけ裁量の幅を狭くして行く努力が必要であり、今の政府のやり方は、出来るだけ幅を広く広くして行こうと逆行しているように私には見えるのです。
交通事故の場合には、過失ですから、予め、行為に対する結果が決まっていても故意に行動する人はいないのですが、それでもこうした表が紛争解決に役に立っているのです。
まして故意犯中心の刑事犯では、なおのこと基準表があれば、予測可能になるでしょう。



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