05/11/07
犯罪の成立要件1(構成要件の機能変化1)刑法76
刑法の原則は、殺人や傷害行為(構成要件該当行為)があれば、先ず処罰されるのが原則で、たまたま逃げ回ったまま、迷宮入りするのは例外とされていました。
こう言う前提の時代には、法律の体系としても、先ず殺人・傷害などの行為があれば、原則として有罪とされていて、医療行為などの正当業務行為や正当防衛など例外的な場合だけ違法性が阻却される、あるいは心神喪失などの場合、責任が阻却される仕組みとなっています。
(こうした例外事由を、違法性阻却事由・責任阻却事由と言います。
この犯罪成立要件の考えは、・・・私の学んだ団藤説の刑法体系です・・別の学者によれば別の法体系の考えも当然あります。・・・念のため)
ところで、ここで、ちょっと難しい刑法学のお勉強ですが、
「盗んだ」とか「傷害した」「スピード違反した」
などの法律で禁圧している行為を、法律学では、犯罪構成要件該当行為といいます。
そして、さらに細かく言えば、この構成要件該当行為をすることを、「実行」と言い、その行為を「実行行為」とも言います。
ついでに紹介しておきますと、未遂とは、構成要件該当行為の「実行」に「着手」して「遂げなかった」ものと言う意味です。
元々は、構成要件該当行為(殺人・強盗など)があれば、国家は洩れなく必罰するのが、社会の基本ルール・・建前でした。
(逃げおおせる人も、たまにはいますが・・・。)
しかし、構成要件該当行為者=違反者全部を検挙する建前から、最近の法律の場合、・・たとえば歩行者の信号無視など・・この原則と例外の逆転現象・・悪質な場合だけ検挙すると言う運用に変わっているのです。
構成要件該当行為の意味が、軽くなっている・・あるいは変質して来たのです。
このように元々違法性が低いので、(どちらかとえ言えば、刑事罰の対象ではなく秩序罰で足りるようなものまで、違法として昇格させている弊害ともいえるでしょう。)国民もあまり守る気持ちが起きないし、取り締まりも出来ないと言う状態です。
あるいは、飲酒運転などは危険ですから、これを違法として処罰するのは正しいのですが、国民の法意識が追いつかないだけと言うのもあります。
これに加えて、スピード違反などを原則として許容しているわけではなく、全部検挙しきれないから仕方なしに原則として放置されていると言う物理的な要因によるものもあります。
このように、国民の多くが守りきれない法律の数々、警察も検挙しきれないほどの大量違反者の存在と言う刑事処罰法の洪水の時代では、法律違反の重みが薄れ、逆に順法意識に悪い影響を及ぼして悪循環になっているのです。
刑法学の体系で言えば、構成要件該当行為をしただけでは、本当に処罰される犯罪行為をしたことになるのではなく、別の大事故など起こして初めて、違法行為の完成になってきている時代になりつつあると言えるでしょうか。
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