05/11/07

逮捕要件の骨抜き3(知らしむべからず=権力への擦り寄り2)

政府は、一方で、いろんな取り締まり法規を乱発して、普段は殆ど守っていないような法律を一杯作り、他方では、法定刑の幅を広げられるだけ広げて、罪刑法定主義を骨抜きにして、国民を従わせる手段に使ってきたのです。
20年程前に、被害者が警視総監の身内だったことから、普通では逮捕されるような事件ではないのに、(法律家の常識的基準です)イキナリ逮捕されてしまった事件がありました。
もちろん、事件になるべき基準は、長年の間に身に付けたこちらの勝手な相場観でしかないのですから、検察に対して違反だと主張はできません。
被害者(と言えるかな?)が、当時の警視総監の親戚筋と言うだけで、加害者とされた方が逮捕された事件でしたから、事件が元々無理筋だったのです。
そこで、一応示談出来たことを理由に不起訴釈放を勝ち取りましたが、こう言う私的な運用基準のねじ曲げが起きても、それ自体を争えないのです。
結局は、不当な示談が強要された事件でした。
弁護士が争えるのは、その被疑事実があるかどうか(信号無視したか否か)だけでしかなく、こんな事件を立件するのはおかしいと争う場が、現行法体系ではないのです。
ただ、この事件は逮捕自体が、無理筋だから、検察も示談で御茶を濁そうとする筈だから、示談はまとまる筈だと言う読みで強気で交渉して、そのとおりになった事件でした。
著作権法や特許法の罰則を後に紹介しますが、政府の気に入らない者であれば、違反が有りさえすればイキナリ刑事犯罪で逮捕されてしまって、社会から抹殺してしまえるのですから、そのような法律は(こう言う資格制限法律が増えているのです)危険すぎるのです。今後、条文だけでは、何をすれば違反になるのかが分からない・・分り難い法律が増えてくるのは、ある程度仕方がないでしょう。
その代わり逮捕や、起訴の基準あるいは裁判になってもその量刑基準(懲役と罰金になる区別など)をできるだけ、客観化していく試みが必要な時代が来ているのです。
国民は、自分が行為をしたときに自分の行為が特許権侵害になるとか、著作権侵害と分からないで、後になって「違法だったのだ」と分かった場合でも、そのとき以降の行為だけが有罪になるのでは有りません。
このことは「法律の錯誤・・違法だとは知らなかったことは許されない」刑法の原則として何回も書いて来ました。
やったことが、結果として違法である限り、政府・・警察のサジ加減次第で、いつ逮捕されても文句言えないのが現行法体系です。
繰り返しますが、殺人や泥棒のような自然犯の場合には、法律のあるのを知らなかったという言いわけは通りませんが、最近の難しい法律の場合、誤ってしまうのは無理からぬことが多いものですから、悪質な場合だけ処罰すると言う原則と例外の逆転時代になっているのです。
(これが、法律の錯誤の適用場面を制限すべきだとこれまで書いている私の意見の基礎です。9あるいは歩行者の信号無視もそうですが、原則検挙しないことを前提にした法律もいっぱいあるのです。



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