05/10/07
法定刑の細分化4(逮捕要件の骨抜き1)
住居侵入でも、
「ビラ配り目的でマンションが何棟も建っている敷地にはいっただけ」
あるいは、立派なマンション群が出来たので、
「どんなものかな?」
と言う好奇心で、マンションの中庭をちょっと覗いてみる人もいるでしょう。
このような軽微な場合は、仮に処罰する必要がある場合があったとしても、普通は罰金相当で、懲役刑までは滅多に必要としない筈です。
これをすべてに(強盗・恐喝目的の侵入まで)対応するように、懲役刑まで含めるから、軽微な事件に(人権侵害)に利用される(警察は別件逮捕・・・日常用語で言えば言い掛かりです)の材料に使える)のです。
この後に書いて行きますが、人権侵害を防ぐには、法定刑の幅が広すぎる・・・事案ごとに細かく法定刑を決めればいいだけです。
刑事訴訟法が出来たときは、軽微な犯罪は原則として逮捕禁止だったのに、政府・・権力者はいろんな軽微な違反にも、次々と懲役刑をくっつけて徐々に刑を重くして(法定刑の幅を広げていって)、この規定をなし崩しに空洞化してきたのです。
法定刑を大幅に広げて来た結果、殆どの軽微な違反でも自由に逮捕出来るように、いつの間にか変更されてきたのです。
このような、少しづつの修正変更の怖さが、共謀罪法案は
「懲役何年以上の重い罪だけに限定するからいいでしょう」
と言う政府案の危険さでもあるのです。
逮捕を原則にするかどうかのテーマならば、大きな社会・政治問題になりますが、個別事件ごとに懲役刑も必要だと言う改正ならば、社会問題にならないで、いつの間にか改正していけるのです。
我々弁護士でも気づかない内にどんどんいろんな違反行為が重罰化されているのですから、一般の人には全く気づかないで進むのです。
特にここ10年くらいの刑の重罰化の進行は恐るべきものがありますが、この傾向については、09/16/06「少年犯罪の増減と重罰化の風潮(少年犯罪統計)1」のコラムで連載しています。
誰でも違反するような法律違反が増えてくる時代には、裁判所のチェックは、犯罪事実の有無だけではなく、必要性の有無に重心を移すべきです。
そのためには、「必要性がない」かどうかなどという抽象的な逮捕基準では、裁判所は検察に迎合してどんな場合でも必要性を認定してしまう傾向があるので、なんら当てになりません。
こうした不当な・・本来の法律をねじ曲げた運用をしている事例として、11/05/04「保釈に実態2(痴漢事件の例)」などで繰り返し紹介して来ました。
本当に人権保障のためにならば、「必要性」という抽象的な基準ではなく、職業や自宅の有無、家族構成その他の具体的な基準を違反した行為との関数で指数化して、逮捕基準を決めるべきでしょう。
そうすれば、違反した事実は認めるが、こんな軽微な違反で逮捕までするのは、その基準に違反していると言って、争えるのです。
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