05/10/07

法定刑の細分化3(逮捕要件の具体化2)

前回紹介した刑事訴訟法の条文を見れば分かるように、裁判所のチェックと言っても、犯罪事実の有無が中心で、必要性については、殆どフリーパスです。
「但し、明らかに逮捕の必要がないと認めるときは、この限りでない。」
と言う厳しい限定ですから、実状の分からない裁判官が、
「あきらかに必要性がない」
などと自信を持って判断できませんから、結果的にこの但し書きがまるで機能を果たせないのです。
書き方としては、逮捕状を発するには、逆に、
     「あきらかに必要なときに限る」
とすべきでは、ないでしょうか?
いずれにせよ必要不必要と言う条文では、何でも必要と認定されてしまう傾向があるので、(勾留・保釈の運用で紹介しました)後に書くように、具体的条件を書くようにすべきです。
この後に書きますが、構成要件該当行為=必罰が要請される時代ではなくなったのですから、構成要件該当行為の有無の審査だけでなく、逮捕の「必要性」審査も重要になっているのに、法律の仕組み・思想が追い付いていないと言えるでしょう。
言うならば、必要性の有無でなく、不必要を原則として必要な条件を具体的に条文化しておくべきでしょう。
普段から守らないでも問題にならない法律が増えている以上は、逮捕禁止を原則にすべきだと言う意見です。
その意味では、刑訴法が出来たときには、同法199条但し書きで、軽微な犯罪では、逮捕するには厳しい限定がされているのですが、以下に書くように実質は「あった」と言う過去形にすべきでしょう・・・?
軽微犯罪の逮捕禁止の原則は、戦前の違警罪即決例で紹介したように、軽微な犯罪を理由にする逮捕勾留の蒸し返しが濫用されて、政治犯に対する人権侵害の温床になっていたことに対する反省から、生まれた制度です。
違警罪即決例については、08/31/06「違警罪即決例6(裁判所法施行法)」前後で、連載しましたが戦後の改革まで存在していたのです。折角の戦後民主化の一環として、軽微犯罪に対する逮捕禁止の原則が盛り込まれたのですが、この基本条文が改悪されなくとも、いろんな法律の法定刑を次々と引き上げていけば、結局は骨抜きになると言う次第です。
既に紹介したように、歩行者の信号無視や住居侵入罪のように本来・・常識的には逮捕されることを予想していない軽微な違反も含んでいるものでさえも、事案による罰金と懲役刑の区別がなくまとめて懲役刑が法定されていることから分かるように、この刑訴法199条但し書き記載の罰金だけの犯罪は、実際には殆ど存在しなくなっているのです。



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