05/07/07

起訴基準の法定化3(専門家も素人2)

たとえば、消費者系の事件・破産事件を全くやらない事務所の弁護士があるとして、順番が来て市役所の法律相談に行った場合、債務整理を相談されても、破産制度があると言う一般論は答えられるでしょうが、具体的に申立てにはどのような書類が必要とか、あるいはこのような書き方で良いかと聞かれても、実際にやったことがないのでは、答えに窮するでしょう。
あるいは、この程度の問題を抱えていると免責にならないかなるのか、あるいはこの手続と次の手続の間隔はこのくらいですとか、具体的なことは答えられない筈です。
相談者はある程度の流れを本やインターネットなどで読んで知っていて、後は、実際の書き方がこれでいいのかどうか、裁判所でどう言う質問あるのかなど心配で聞きたいのですから、ミスマッチが起きるのです。
刑事事件を全くしない事務所もありますが、これも同じことで、相談者は、自分のやったことは傷害罪になるかどうかぐらいは、知っているのです。
そのうえで、具体的な事情を述べて、これが刑事事件として立件されるのか、立件されるとしたら警察は今後どのくらいしたら来るのか、逮捕まで進むのかなど具体的なことを聞きたいのです。
こうした実践的なことは、刑事事件を数多くやっていないと、この程度なら逮捕までは行かないだろうとか、罰金で済むなどの見通しを答えられません。
罰金はいくらくらいかまで聞かれることもありますが、こうしたことは、多くの経験がないと答えられないのです。
このように、専門家と言われる医師や弁護士でも自分の専業分野以外は、「専門家」ではなく素人とそれほど差がある時代では有りません。
そこで、起訴不起訴の基準・・要は刑事事件にするのが妥当か否かです・・・は、千差万別の事情があるので、刑事訴訟法では起訴便宜主義といって、検察の裁量に委ねられているのです。
起訴便宜主義については、08/27/03「起訴便宜主義4(刑事訴訟法6)(政治的思惑と政策考慮)」前後で紹介しました。
検察の起訴便宜主義によって、実際は違反者の事情による区分けがされて、罰金の求刑(求める罰金額まで)や起訴猶予などに振り分け運用されているのですが、これが公表されていないことから、検察のサジ加減の余地が起きるのです。
これが政治的利用されたり当て嵌めのミスがあっても、どうにもならないのが、上記コラムで書いた問題なのです。
そもそも事件に(逮捕)されるかどうかの最も重要なところが、検察のサジ加減で分かれるのでは、法治国家の実質的意義が空洞化するのではないでしょうか?
5月6日・・・・・2「刑事処罰拡大の危険性5(法律の錯誤と罪刑法定主義)」で少し書きましたが、法的安定性が害されるのです。



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