05/06/07

刑事処罰拡大の危険性6(起訴基準の法定化1)

これからは、社会が複雑化する一方ですから、特許法や著作権法のように解釈の複雑な法律が増える一方になるのは仕方がないのです。
たとえば、特許法では、条文を見ても何が特許侵害になるのか書いていないのですから、プロが、しかも先端の検索技術を駆使しないと、分からないようになっているのです。
それも一寸したプロではなく、その分野の専門家の中のトップクラスの能力が必要なのです。
医療で言えば、心臓が悪いのまでは分かるが、その先のどの部分をどのように手術したら良いかまで微細なことが分かるのは、心臓手術の先端で働くプロが、しかも先端技術を使って検査して初めて分かるのと同じでしょう。
従来の法律で言えば、傷害とか窃盗、強盗などと、悪いこと・・犯罪になることを具体的に書いてあったものを、これからの法律は、ただ「特許を侵害してはいけない」と言うだけですから殺人や障害と書かずに「悪いことをしてはいけない」と言う法律に改めるようなものです。
経済社会の高度化に連れて、複雑な法律が増えて来たのですが、それに関係するのは、その専門家・・それを商売にしている人しか関係がなかったので、あまり問題がなかったのです。
ある程度のプロでさえ、調査しきれないからこそ、5月4日に紹介したようにリナックスのような販売連合が組まれている時代です。
それはそれで仕方がない時代であると私は思うのですが、他方で素人の参入も増えてきたので、すべてを刑事事件の対象にする法律を作るのは、問題であると言うのがこのシリーズの関心です。
このコラムの読者を基準に例を挙げれば、パソコンの普及で、素人が株取引や、ブログなどで、うっかりすると著作権に関係するようになって来たと言えば分かり良いでしょう。
このことからも分かるように、いろんな分野で専門的な法律・・取り締まり法規が出来て来たのに、そこに素人がたまに足を突っ込む事態・・突っ込みやすい状況が生じてきたので、素人が知らない間に法律違反を犯す危険が生じてきたのです。
経済分野で消費者の参入が、古典的法体系の修正(クーリング・オフや消費者保護法の制定など・・・)を迫っているのと同じ次元の問題が刑事法でも起きているのです。 
素人と言えるかどうか知りませんが、10年程前に東京の著名な大手法律事務所の共同代表者弁護士が、顧客の金融業の会社が、どこかの会社と合併か提携か内容を忘れましたが、その取り引きに関与しているときに、知人の女性に教えてその金融業者の株式を買わせたことがインサイダー取引になると言うことで逮捕されてしまったことがありました。
弁護士といっても、相談に乗っているM&Aに関してはプロかも知れませんが、株取引のプロではないでしょうから、普通の人の常識を超えるものではありません。
ただし、自分で買わず知人名で買っていたと報道されていましたから、(・・真実はこんな話があるよと言っただけかも知れません。)違法性を認識していたのでしょうが、証券取引に毎日携わる人ほどの職業倫理を持っていないし、詳しくは知らなかった可能性があるでしょう。



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