05/05/07

親告罪1(刑事訴訟法70)とDV法など

親告罪とは、そもそもなんのためにあるものでしょうか?

(1)・・犯罪が軽微で、被害者が特に処罰を求めない限り国家権力が介入しないと言う意味の親告罪・・・器物損壊など
(2)・・・・犯罪被害が大きい場合もあるが、犯罪の性質上被害者の意思に任せた方が良い分野・・性犯罪や名誉毀損、今回問題にしている著作権侵害など
(3)・・・親族間の窃盗などの被害は、被害者が告訴しない限り、家庭の自治に任せようとする分野。
などに分類出来るでしょう。
(3)については、以前にも書いたと思いますが、家庭内には、歴史的に一種の(治外法権的)自治権能があって、これを徐々に国家権能が侵蝕して来た歴史があると言えるでしょう。

氏族共同体が、一方では、大きくなって村落共同体さらには部族単位〜領主〜国単位と広がっていきましたが、その一方では、氏族単位から大家族単位、さらには核家族へと単位が小さくなっていきながらも、コアの家族内では原始時代以降の強固な自治権を保有してきたのです。
私達が育ったころまでは、親はいうことを聞かない子供に対して、押入れに閉じ込めたり縛ったり、夕飯を抜きにしたり、あるいは体罰を加えたりすることも多くあったのです。
(サザエさんの漫画にも、でていると思います。)
これが他人ならば、立派な刑事事件になることが多いのですが、家族内では、自由・・何の罪にもならないと思われていたのです。
(戦前の民法旧規定では、家長による居所指定権や懲戒権が明記されていたと思います。)
ただし、明治40年ころに出来た現行刑法の最初から・・公的法体系上は、家庭内の自治権と言えども国家秩序である刑法犯に対しては、窃盗など財産犯だけしか例外がなく、傷害その他の罪には例外が定められてはいなかったのです。
ですから、家長の懲戒権も傷害を負わしてもいいとか、監禁してもよい訳ではなかったのですが、太古以来の歴史があるので、事実上家庭内の暴力その他国家秩序に反する行為は、殺人に至らない限りは黙認されて来たのです。
しかし、核家族化が進み近隣の行き来もなくなってくると、家庭内秩序を大勢の目で監視することがなくなって来たことから、家庭内権力者が暴走しても、誰も制止する人がいないなどの弊害が目に余ってきたので、DV法や児童虐待防止法が必要になってきたと言えるでしょう。
核家族化で、自治能力が欠如している半人前の人でも、結婚すれば家庭内秩序の支配者になれる構造になってきたのです。
権力には自制が必須ですが、まるでそうした自制の働かない者でも、(自分自身さえも、まとも社会生活できずに持て余しているものでさえも、)結婚・・あるいは同棲しているだけで家庭内の権力者になってしまうから問題なのです。
自制の利かない人に対する家族団体の抑制機能喪失が、現在の家庭内暴力・DVや児童虐待発生に繋がっていると言えるでしょう。



関連ページリンク

Powered by msearch
稲垣法律事務所:コラム:検索

検索ベースはこちらから

 


コラムTOP

リンクを当コラムにはられる方はお読み下さい

©2002, 2003, 2004, 2005, 2006 稲垣法律事務所 ©弁護士 稲垣総一郎
Design / Maintained by Pear Computing LLC



ブログ
株式投資