05/05/07

刑事処罰拡大の危険性4(法律の錯誤・処罰の限界2)

解釈の難しい事件では、先ず民事裁判で白黒をつけてみないと、誰も(知り合いの現職裁判官に事前に相談しても、担当裁判官でないと分からないことが多いものです・・・)最終的判断が出来ないのが普通です。
5月4日のコラムで、リナックスの例を紹介しましたが、営業的行為や対価を得ているときでも、どこかで特許をとっているかどうか、あるいはそのものズバリの特許はないが、周辺的特許に引っかからないかどうかは、プロでも事前にチェックしきれないことが多いのです。
こんな難しい事件では、民事裁判で負けたとき以降、あるいはこれに類する時期以降の著作権や特許権無断利用だけを、有罪にするのならば合理的です。
そこまでは、民事の損害賠償に任せるべきでしょう。
ところが現行法体系では、その利用行為自体が(本人がそのときまで侵害だと考えていなかったとしても)初めっから有罪だったことになるのですから、民事で負けてから刑事で遡って立件されると助かりません。
たとえば、著作権法はそうした段階的あるいは営業的か、そうでないかなどの区別が一切なくて、個人の趣味であっても、コピーをインターネットでばら撒いて著作権を侵害したら、あとで処罰出来るのですから、怖いのです。
特許と違い、著作権侵害と受け止めるかどうかは、当事者の意見が重要です。
著作者としては、「引用されるだけでも自分の意見が広まって幸せ」と言う人も多くいますから、著作者が処罰を求めるかの意思に任せるために親告罪になっているのですが、どうでも良いかと思ってい1かと思っていた人でも、政府に頼まれたら告訴状を書くのに協力する人が多いのも問題です。
こう言う問題は、少なくとも
「著作権が侵害されている事実を知ってから、あるいは知らなくとも公刊されてから一定期間内に刑事告訴していないときには、後から(警察に頼まれて)告訴しても無効とする」
くらいの制限規定が必要でしょう。
これを法的に表現すれば、公訴の時効だけではなく、告訴の時効・・正確には除斥期間・失効制度の規定が必要でしょう。
4〜5年前だったかな?刑訴法改正前には、強姦罪の親告期間は6ヶ月間でしたが、この期間制限がなくなってしまいました。
従来の6ヶ月と言う期間は短すぎたかも知れませんが、完全に期間制限をなくすのは、法体系上問題ではないでしょうか?
告訴期間の制限を完全になくしたのは、女性の告訴権の保護と言うよりは、警察が、誰か処罰したくなったときに、好きなように古い事件を掘り起こせるようにした・・・最近の重罰化傾向の一環としての改正ではないでしょうか?
近年における警察権強化の流れでしょう。
5月4日の2で、時効期間を紹介しましたが、強姦罪の法定刑3年以上有期懲役の場合、公訴時効期間が10年もあるのです。
時効になるまでは、いつでも告訴できると言うことは、10年近く経ってからでも、あれは強姦だったと言う訴えを(警察に頼まれて?)できることになるのですが、
「そんなに長期間、法の保護を与える必要があるのでしょうか?」
と言うことです。



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