05/04/07
刑事処罰拡大の危険性3(法律の錯誤・処罰の限界1)
このように引用して利用して何年も後になって、イキナリ逮捕される危険があるので、予め、著作権者の了解を文書で取っておくのが安全です。
しかし、「言うはやすし」で、大袈裟な出版などでなく、気楽に書いているブログなどでは、そこまで実際にはやり切れないことが多いのが問題なのです。
(私のコラムもそうですが、そもそも、その日その日の思いつきで書いているのですから、一々著者を探して連絡して了解を取っているとまどろっこしいのです。
そのうえ、何の社会的影響力もない、私的意見を書いている気楽なもの・・それがまたブログの取り柄でしょう・・が多いのです。
そのうえ、ある人の意見や図録などの引用の仕方によっては、著作権侵害になったりならなかったりするのですから、その境界は結構微妙・・難しいのです。
著作権違反になるかどうかについて、我々弁護士は安直に相談される事がありますが、こちらとしては、その論説の全体をじっくり読まないと、引用の範囲を超えているのかどうかを一寸した相談を受けただけでは判断できません。
こんな難しいことを聞かれて、後で、裁判の結果負けたからと言って、弁護過誤に問われても困るし・・・と言うところです。
法の錯誤は許されない・・解釈の間違いを過失とは言わないことになっているのが、刑法の原理ですから、たとえば
弁護士に相談して、「この程度ならば違反でないだろう」と言われて、無断利用していた場合、 「後に著作者からの訴えで裁判して負けたらどうなるか?」
と言う問題です。
法律の錯誤については、これまで、01/16/05 「児童買春・ポルノ禁止法3(刑法20)事実の錯誤、法律の錯誤」以下のコラムで紹介してきましたので、参照してください。
法律の錯誤の問題は、自分の行為が処罰の対象になっていることを知らないで犯しても、有罪を免れない・過失犯ではなく、故意犯になると言う刑法学の原理(公式みたいなものかな?)です。
本来解釈が微妙で難しい場合には、悪質性が低い・・・可罰的違法性が低いので、かなりの期間経過してから刑事事件として立件するのは、公訴権の乱用とすべきでしょうが、裁判所は、そう言う判断をしないで、先ずは有罪認定して執行猶予にして逃げるのが普通です。
これまでは、
「刑務所に行かなくて済めば、結局同じだからいいじゃあないか」
と言う時代でした。
しかし、武富士会長事件で紹介したように現在社会では、いろいろな業法で有罪判決を受けたら、執行猶予でも、その役員になれないなどの制限規定が多すぎるのです。
関連ページリンク
©2002,
2003, 2004, 2005, 2006, 2007, 2008 稲垣法律事務所 ©弁護士 稲垣総一郎
Design
/ Maintained by Pear Computing LLC
