05/13/06

知財保護の帰趨6(人口減社会の必要性と人口圧力)

ところで、このシリーズで海賊版に頼る方(中国)が、知財を守ろうとするアメリカに多分競争で勝つだろうと言う前提で書いていることに反論もあるでしょう。
海賊版の輸出は殆どの国で差し止めるだろうから、いつの世にも犯罪行為がこそこそと存在しているのと同様で、ヤミはヤミでしかなく、そんなことは気にする程のことはないと言う理屈です。
またブランド品の模倣は、当初だけで、そのうち豊かになれば本物が欲しくなるから、却ってファンを作りるだけだから構わないと言う声もあります。
海賊版そのものの輸出は、その輸入国で差し止めしてくれる、あるいは盗品そのものの陳列販売は難しいので、それは水面下でこっそりやる程度だから、経済全体にそれほど影響がないとも言えるでしょう。
海賊版が横行し、世界経済を揺るがすだろうと言う意味は、中国国内だけでも知財がフリーになれば、海賊版そのものの輸出ではなく、特許料を払わないままその知財を無償使用して何らかの生産をすれば、その生産コストは知財料を払っている国よりも、当然安くなるのです。
盗んできた商品そのものを売るのは、難しいでしょうが、これを原料にしてものを作れば、生産コストも安くなると言う理屈です。
海賊版で泥棒みたいに仕入れてそこから新商品を開発している業者と、正規に特許料を払って研究開発した業者では、開発費用が違います。
簡単に言えば、原材料価格が違うのです。
こういう訳で、一国が国内取締りをしないで放置した場合、近隣国がいくら輸入段階で海賊版そのもだけを取り締まっても限度があります。
パンやチョコレートを買うときに、盗んだ原料、砂糖や調味料(そのまた一部など今は複雑なのです)が混じっているかどうかの見分けがつかないのと同じです。
現代の商品はホンのちょっとしたもの(コンソメでも)でも、複雑な構成になっているので、プロでもその構成品の一部始終を盗品が使われているかどうかチェックするのは不可能でしょう。
その上、例えばただで映画をダビングしたり、著作料を払わずに外国の本を印刷してどんどん売れば、外国に比べて映画が100分の1の価格で見られるのです。
勿論コーラも安いし、ハンバーグも安い、薬も安いと言うわけで、生活の基本が安くなるので、国際競争力の基礎が安くつきます。
こういう訳で、知財を無償使用している生産品を輸入禁止するといっても、その見分けは難しいでしょう。
実効性を担保するには、その国の製品を特定せずに全面禁止するしかないでしょうが、具体的根拠なしに全面禁止となると殆ど戦争状態です。
しかも、自分の国が輸入禁止するだけでなく、世界中が禁止してくれないと自分の国だけ高い製品輸入国になってしまい国際競争で負けてしまいます。
アメリカが世界中に禁止を強制できるかどうかですが、そこまで行けば世界大戦の危険があるので、実際は難しいと思われます。
その上ナポレオンの大陸封鎖令が守られなかったように、世界中に禁令を敷くのは殆ど不可能なのです。
そうなると、購入者のほうは、明白な犯罪行為によると言うことが分からない限り、仕入れ価格の安いほうを仕入れるのが、普通の帰結でしょう。
こう言うことが続くと、自分の国も国際競争に負けないために仕方なしに知財フリーで行こうと言う国が増えてきて、「無法状態・正直者が馬鹿を見る世界が現出されるだろう」と言うのが、私の仮説です。
これと同じことは、人口圧力の問題でも、起きる可能性があるように思われるのです。
人口減少の方が住みやすいと言うのが私の持論ですが、隣でいくらでも人口を増やしている国があるとその圧力を受けるのが問題です。



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