05/08/06
知財保護3と弁護士の役割1
そればかりか、役人による取締りだけでは既存の権利擁護だけで発展性がないのですが、利害のある近隣の人たちの民事請求権を認めて行く・・すなわち、これの助っ人である弁護士の発達が、社会の発展・・新しい需要の発見効果もあって、社会の発展にも役立っているのです。
最近話題の環境権などは、弁護士による各種公害訴訟が大きなきっかけになったでしょう。
この辺で、弁護士制度の発達の歴史を少しみておく必要があるでしょう。
近代法の法治国家原則下では、法を守らせるためには、ハードとしての刑事制度の確立ばかりではなく、その周辺行為は民事として救済される仕組みを作ることもが必須だったのです。
国王のいシャイから、法治国家・・法の支配へ移行するには、弁護士制度の発達は「対」の関係にあったのです。
人治主義といわれる中国でも、法体制の整備にともない弁護士需要が大きくなっています。
弁護士の仕事は、人権擁護が主要な仕事と言われますが、政権にとっては法を守らせるためには、警察力だけでは無理があるので、その前段階の民事秩序違反を取り締まる役割としての弁護士が必要なのです。
弁護士制度は、民事秩序維持に役立つ必要性と政権に楯突くリスクのバランスで発達してきたものです。
田中真紀子衆議員の娘さんの行状についての、出版差し止め仮処分事件が、昨年世間を騒がせましたが、こうした民刑境界事件では、民事・・すなわち弁護士の活躍が、期待されているのです。
何か出版される度に一々名誉毀損になるかどうか警察があらかじめ内定していたのでは、民主国家として成り立ちませんし、そんなことをやっていたのでは、警察官がいくらいても足りないのです。
こうしたことは民事の仮処分でケリがついてしまえば、刑事事件も少なくなると言う訳です。
ちょうど犯罪防止のために民間の警備会社のガードマンが巡回することによって、万引きその他の犯罪が抑制されているのと似ているでしょう。
明治維新以降日本や後発国では、まだ法律に基づく取り引きよりも情実や縁故に基づく取り引きが主流でしたから、弁護士の役割は政府の監視役・人権擁護の旗手として大幅にシフトされて来たのです。
たとえば、バブル崩壊ころまでは、(ホンの10数年前です)大手でも、系列取り引きが主流でしたから、この取り引きに弁護士・・法が入り込む余地が有りませんでした。
法に訴えた場合は、その取り引き関しては勝つとしても、その代わり継続的取り引きが打ち切られる覚悟が必要でしたので、倒産状況下でしか「法」が機能していなかったのです。
こうした歴史を引きずっているので、わが国では、弁護士は弁護「屋」ではなく弁護「士」であるとして、企業弁護士になるのを蔑む傾向があります。
しかし、弁護士制度は、社会経済活動の実需に基づいて発達してきたものであるとして、これをみ直して見れば、いまや、王権の圧制から人権を護ると言う人権擁護活動の役割はとっくに終わって背後に退いているのですから、企業弁護士に純化して行くのは、時代の当然の流れであり、むしろ前向きであるとも言えます。
圧制からの解放の仕事が、初めからなくなっていたアメリカで、弁護士をLAWER(日本語で言えば「法律屋さん」でしょう)と呼称するのは、偶然ではないでしょう。
職に貴賎なしと言いますが、アメリカでは、八百屋、魚屋さんと同じ、社会で有用な職業の一つ「・・ER」に過ぎないのです。
ただし、先進国でも人権擁護機能が皆無になったというのではなく、ときどき人権侵害事例がありますが、大方の弁護士にとっては、ホンの僅かな仕事になっている事を書いているのです。
弁護士は警察と対立概念のように思われていますが、実は警察の前座を務める役割として、発達して来たものと言えるでしょう。
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