05/14/04

国民の祝日に関する法律2・・勅令25号「休日ニ關スル件」と皇室祭祀令

話しがまたそれてしまいますので、祝日法に戻ります。
国民の休日に関しては、戦前にも、「休日ニ關スル件」と言う勅令があって、天皇家の祭祀の主なものに合わせて、国民もそのおこぼれで一緒に休むことになっていました。
現在の祝日法成立同時に廃止されたのが、以下の勅令です。

「朕大正元年勅令第十九號「休日ニ關スル件」改正ノ件ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
  御 名  御 璽
   昭和二年三月三日
内閣總理大臣 若槻禮次郎
勅令第二十五號
左ノ祭日及祝日ヲ休日トス
  元始祭 一月三日
  新年宴會 一月五日
  紀元節 二月十一日
  神武天皇祭 四月三日
  天長節 四月二十九日
  神嘗祭 十月十七日
  明治節 十一月三日
  新嘗祭 十一月二十三日
  大正天皇祭 十二月二十五日
  春季皇靈祭 春分日
  秋季皇靈祭 秋分日
   附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス

これらの各祭祀は、皇室祭祀令の中の主な行事を抜き出したものですから、新憲法成立により実質を失いました。
その実質を見るためには、皇室の祭祀にはどういうものがあったのかについて、皇室祭祀令を先ず見ておく必要があるでしょう。現行祝日法の基礎になった皇室祭祀令は、或いはその中に出てくる祭祀の名称は少しお聞きになったことがあるでしょうが、原文を見るのは珍しいでしょうから、紹介しておきましょう。
現在の祝日が全部あるわけではありませんが、比較してみると結構面白いですよ。

皇室祭祀令
明治41年9月19日
皇室令第1号
朕皇室祭祀令ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム皇室祭祀令
 第一章 総則

一条 皇室ノ祭祀ハ他ノ皇室令ニ別段ノ定アル場合ヲ除クノ外本令ノ定ムル所ニ依ル

二条 祭祀ハ大祭及小祭トス

三条 祭祀ハ附式ノ定ムル所ニ依リ之ヲ行フ

四条 天皇喪ニ在ル間ハ祭祀ニ御神楽及東游ヲ行ハス

五条 喪ニ在ル者ハ祭祀ニ奉仕シ又ハ参列スルコトヲ得ス但シ特ニ除服セラレタルトキハ此ノ限ニ在ラス

六条 祭祀ニ奉仕スル者ハ大祭ニハ其ノ当日及前二日小祭ニハ其ノ当日斎戒スヘシ

七条 陵墓祭及官国幣社奉幣ニ関スル規定ハ本令又ハ他ノ皇室令ニ別段ノ定アルモノヲ除クノ外宮内大臣勅裁ヲ経テ之ヲ定ム 第二章 大祭

八条 大祭ニハ天皇皇族及官僚ヲ率イテ親ラ祭典ヲ行フ
天皇喪ニ在リ其ノ他事故アルトキハ前項ノ祭典ハ皇族又ハ掌典長ヲシテ之ヲ行ハシム

天皇の喪中でも代わりの者が大祭を施行することになっていますが、第4条で、「御神楽及東游ヲ行ハス」と言うことで、いわゆる歌舞音曲の停止です。
東游とは「糺すの森」で行われる舞のことではないかと思いますが、それが皇室行事とどう関わるのか良く分りません。
以下の大祭小祭日の中から、天皇家の私事に属しそうなものは除き、公的に使えそうなものを国民の祝日として衣替えしたのです。
現在の祝日を当てはめてみればよく分りますよ

第九条 大祭及其ノ期日ハ左ノ如シ      現行法
 元始祭
 一月三日 ・・・・正月休
 紀元節祭
 二月十一日・・・・建国記念日
 春季皇霊祭
 春分日・・・・・・春分の日
 春季神殿祭
 春分日
 神武天皇祭
 四月三日
 秋季皇霊祭
 秋分日・・・・・・秋分の日
 秋季神殿祭
 秋分日
 神嘗祭
 十月十七日
 新嘗祭
 十一月二十三日ヨリ二十四日ニ亘ル・・・勤労感謝の日
 先帝祭
 毎年崩御日ニ相当スル日
 先帝以前三代ノ式年祭
 崩御日ニ相当スル日
 先后ノ式年祭
 崩御日ニ相当スル日
 皇妣タル皇后ノ式年祭
 崩御日ニ相当スル日

十条 式年ハ崩御ノ日ヨリ三年五年十年二十年三十年四十年五十年百年及爾後毎百年トス
神武天皇祭及先帝祭前項ノ式年ニ当ルトキハ式年祭ヲ行フ

十一条 元始祭ハ賢所皇霊殿神殿ニ於テ之ヲ行フ

十二条 紀元節祭春季皇霊祭神武天皇祭秋季皇霊祭先帝祭先帝以前三代ノ式年祭先后ノ式年祭及皇妣タル皇后ノ式年祭ハ皇霊殿ニ於テ之ヲ行フ但シ先帝祭ハ一周年祭ヲ訖リタル次年ヨリ之ヲ行フ
神武天皇祭先帝祭先帝以前三代ノ式年祭先后ノ式年祭及皇妣タル皇后ノ式年祭ノ当日ニハ其ノ山陵ニ奉幣セシム

十三条 春季神殿祭及秋季神殿祭ハ神殿ニ於テ之ヲ行フ

十四条 神嘗祭ハ神宮ニ於ケル祭典ノ外仍賢所ニ於テ之ヲ行フ
神嘗祭ノ当日ニハ天皇神宮ヲ遙拝シ且之ニ奉幣セシム

十五条 新嘗祭ハ神嘉殿ニ於テ之ヲ行フ
新嘗祭ノ当日ニハ賢所皇霊殿神殿ニ神饌ヲ奉ラシメ且神宮及官国幣社ニ奉幣セシム

十六条 新嘗祭ヲ行フ前一日綾綺殿ニ於テ鎮魂ノ式ヲ行フ但シ天皇喪ニ在ルトキハ之ヲ行ハス

十七条 新嘗祭ハ大嘗祭ヲ行フ年ニハ之ヲ行ハス

十八条 神武天皇及先帝ノ式年祭ハ陵所及皇霊殿ニ於テ之ヲ行フ但シ皇霊殿ニ於ケル祭典ハ掌典長之ヲ行フ

十九条 左ノ場合ニ於テハ大祭ニ準シ祭典ヲ行フ
一 皇室又ハ国家ノ大事ヲ神宮賢所皇霊殿神殿神武天皇山陵先帝山陵ニ親告スルトキ
二 神宮ノ造営ニ因リ新宮ニ奉遷スルトキ
三 賢所皇霊殿神殿ノ造営ニ因リ本殿又ハ仮殿ニ奉遷スルトキ
四 天皇太皇太后皇太后ノ霊代ヲ皇霊殿ニ奉遷スルトキ
前項ノ規定ニ依リ祭典ヲ行フ期日ハ之ヲ勅定シ宮内大臣之ヲ公告ス 第三章 小祭

二十条 小祭ニハ天皇皇族及官僚ヲ率イテ親カラ拝礼シ掌典長祭典ヲ行フ
天皇喪ニ在リ其ノ他事故アルトキハ前項ノ拝礼ハ皇族又ハ侍従ヲシテ之ヲ行ハシム

二十一条 小祭及其ノ期日ハ左ノ如シ
 歳旦祭
 一月一日
 祈年祭
 二月十七日
 賢所御神楽
 十二月中旬
 天長節祭
 毎年天皇ノ誕生日ニ相当スル日・・・天皇誕生日
 先帝以前三代ノ例祭
 毎年崩御日ニ相当スル日
 先后ノ例祭
 毎年崩御日ニ相当スル日
 皇妣タル皇后ノ例祭
 毎年崩御日ニ相当スル日
 綏靖天皇以下先帝
 以前四代ニ至ル
歴代天皇ノ式年祭
 崩御日ニ相当スル日

二十二条 前条ノ例祭ハ式年ニ当ルトキハ之ヲ行ハス

二十三条 歳旦歳祈年祭及天長節祭ハ賢所皇霊殿神殿ニ於テ之ヲ行フ
歳旦祭ノ当日ニハ之ニ先タチ四方拝ノ式ヲ行ヒ祈年祭ノ当日ニハ神宮及官国幣社ニ奉幣セシム但シ天皇喪ニ在リ其ノ他事故アルトキハ四方拝ノ式ヲ行ハス

二十四条 賢所御神楽ハ賢所ニ於テ之ヲ行フ

二十五条 例祭及式年祭ハ皇霊殿ニ於テ之ヲ行フ但シ例祭ハ一周年祭ヲ訖リタル次年ヨリ之ヲ行フ
第十条第一項ノ規定ハ前項ノ式年ニ之ヲ準用ス

二十六条 皇后皇太子皇太子妃皇太孫皇太孫妃親王親王妃内親王王王妃女王ノ霊代ヲ皇霊殿ニ遷ストキハ小祭ニ準シ祭典ヲ行フ此ノ場合ニ於テハ特旨ニ由ルノ外拝礼ヲ行ハス
前項ノ規定ニ依リ祭典ヲ行フ期日ハ之ヲ勅定ス

このようの順次見ていくと分るように、国民祝日法以前の休日は、天皇家のお祭りに併せたものであったことが明らかです。




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