05/17/03

価格競争と品質保持 3(保証・保険と事前事後のチェック)

最低価格制回帰の理由として、価格競争が過熱すると、赤字受注が誘発されて、結果的に欠陥工事が発生するから価格競争を停止させる必要が有ると言うのです。
官の無謬性の思想が根強く有りますが、(公務員の無修正主義と言うテーマで平成15年1月26日頃からのコラムで連載しました。)むしろこれからの健全な社会のあり方としては、事後的なチェック体制の強化こそが重要ではないでしょうか?
社会制度については、行政の事前指導を縮小して、事後的な司法審査体制の強化が言われていますが、土木建築技術的にも、工事完了後の事後的なチェック技術の開発が必要でしょう。
これまでは、事前および工事中のチェックだけでしたので、チェック項目だけきちんと工事する、と言う抜け道が有りました。
チェックする時期も決まっていましたので、その段階でコンクリート等で隠れてしまう部分は、手抜きの温床でした。
工事が終わってしまえばチェックが難しいからと言う諦め観が強かったので、土木建設業者もやってしまえば、やり得みたいなことになっていたのだと思います。
これまでは、雨漏りは発生してから修理するとか、古くなれば取り壊して作りなおせば良かったのですが、これからは、高速道路や新幹線、航空機、原子炉その他壊れる前にチェックしなければならない施設が増えて来ます。
レーザー光線その他新しい技術で、破壊しないで検査する技術の開発が望まれるのは、そうした角度からも要請されているのです。
これと前回のコラムで述べた、保証制度の育成が両輪だと思います。
事後的にチェック出来ても施行業者が倒産していたのでは何にもなりませんので、(これを役所も心配しています。)業界団体での工事保証や保険の育成が重要です。
そうすれば、施工業者が倒産してから不良工事発覚すれば、生き残っている会社が負担する事になるので、同業者間の事前チェックが必然的に厳しく働きますし、保険会社も損しないように必死に検査してくれるでしょう。
税金ばかり掛かる行政による事前チェックの強化よりもずっと効果的だと思います。
昔から、お上による検査よりも仲間内のチェックの方が、厳しいのが普通です。(クラブ活動でも、師匠よりも、先輩のしごきの方がきついですよ!)
価格さえ民間相場より高く設定すれば、手抜きがないだろうと言う安易な価格維持策では、手抜き工事は防げないばかりか、新しい技術の発達が進まない上に、本来市場から退出すべき建設業者に対する単なる延命補助金になる危険性が有ります。
現下の厳しい業界を、イキナリ破滅させられないと言うのも1理有りますが、ソフトランデイングの為の延命装置が、総合的な経済政策として必要か否かは、正々堂々と別に議論してから実行すべきではないでしょうか。

 



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