価格競争と品質保持 2
公務員の完全主義、無修正主義批判のコラム(今年の1月26日以降)で書いて来たとおり私は事前審査にばかり精力を使うやり方に反対です。
前回紹介したように事後の厳しい懲罰的賠償の併用が望ましいのです。
「事前審査ばかり厳しくて、後で発覚しても殆どお咎め無し」と言うのでは、何とか検査だけ通れば良いと言う誘惑が生じてしまいます。
2500年前の「孫子の兵法」には色々な理論が語られていますが、彼自身が呉王夫差に自分の才能を認めさせるために、軍師である自分の命令に従わなかった呉王の寵姫を処刑した話しは、とりわけ有名です。
或いは、3国志演義で有名な諸葛孔明が街亭敗北の責任を取らせて、「泣いて馬謖を斬」ったと言う故事も同じ趣旨でしょう。
必賞必罰が全ての要なのです。
公共工事の談合が発覚しても、その懲罰が軽すぎるので、談合がなくならない問題点は、平成14年4月10日の「企業人と市民の常識4」のコラムで連載していましたので、併せてお読みください。
役所が優良企業を選別して入札資格をきめるよりも、不動産競売のように誰でも参加出来る開かれた競争にすれば、自然に適正な価格形成を図れるでしょう。
不良業者の低価格受注防止の為には、工事代金の支払い方法の工夫をしたり、不良工事による損害を防ぐためには、工事保証制度や、保険制度の活用ないし育成が望ましいのではないでしょうか?
役所が保護者になったつもりで、これが正しい価格だと決めつけるやり方を採用しても、手抜きを完全に防止出来るものではありません。
阪神淡路大震災で、露呈した多数の手抜き工事は、すべて最低価格以上の受注工事であったはずですから、最低価格制と手抜き工事は必ずしも関連しないのです。
それにこのやリ方ですと価格競争をなくす結果になり勝ちですから、「価格競争を通じて適正な価格をきめる」と言う入札制度の根本的機能を毀損してしまう問題点は前々回のコラムで書いたとおりです。
自由競争による価格形成を目指す入札制度を実質的に空洞化させてしまう(実質的な法改正)かも知れない重要な政策変更は、民主主義の原理に基づき、あらかじめ、国民各層や経済学者等に広く意見を求めてからやるべきではないでしようか?(この政策変更こそ、情報の事前開示が必要です。)
ちなみに、この変更は職員内部で議論して内部的に決定して、外部的には関係業者を集めた説明会を開催しているとのことですが、意見を聞くべきは納税者ではないですかね?
そして、市で言えば議会に諮る条例でなく、単なる内部規則に過ぎない要綱で実施するとのことです。
©2002,
2003, 2004, 2005, 2006, 2007, 2008 稲垣法律事務所 ©弁護士 稲垣総一郎
Design
/ Maintained by Pear Computing LLC
