05/17/03

価格競争と品質保持 1

過当競争や不良工事防止の為に、価格の下支えをすべきかと言う問題を考えてみたいと思います。
私は、最低価格の考え方自体が絶対にいけないと言うのではなく、実勢より高く設定する運用と、事前開示によって事実上最低価格が固定する結果になる点について問題にしているのです。
非公開ですと、最低価格以下の入札が発生する可能性が有りますので、官の方でも実勢を肌で感じる事が出来ます。
その結果時勢に合わせて価格修正をし易い制度になります。
しかし、公開されるとそれ以下の入札をする余地がないので、タダデさえ、役人は市場価格に疎いのが本性ですから、いよいよ実勢の変化に疎くなります。
最低価格制度は、価格自体に意味が有るのではなくて、不良受注の防止手段の一つでしかないはずですから、防止手段はいろいろ考えられるのではないでしょうか?
「競争入札制度と最低価格制度(事前公開)1」のコラムで紹介した基準価格を採用するのも一方法ですし、その他のチェック手段の組み合わせを考えても良いかも知れません。
こうした工夫をしないで、いきなり最低価格に復帰するのはどうかと思います。
行政庁が考えている基準より、企業努力で少しづつコスト削減出来る場合が有る筈ですが、最低価格に合致しないければ失格する硬直的な制度では、健全なコスト競争そのものを阻害してしまう恐れがあります。
今でも公共工事は、割高ではないかと言う批判が有ります。
最低価格が事実上落札価格になってしまっても、良いではないかと言う考えは、企業努力による価格低下を認めず、「官が決めた価格以下の入札は、品質低下や手抜きが有るはずだ」と決めつける役所の発想に驚きを禁じ得ません。
この考えは、突き詰めると「市場経済による価格形成は信用出来ないので、正しい価格は役所が決めてやる」と言う思想に基づくのでしょうか?
自由競争も時には行き過ぎが有るかも知れませんが、それはその修正装置で修正されて行けば良いと言うのが自由主義体制下の根本的態度ではないでしょうか?
発注者としては、「赤字受注企業が自然に淘汰されるのを待つのでは、手抜き工事された結果が何十年後に判明した場合に困る」と言うでしょう。
でも、事前にすべてチェックして完全なものにしようと言う考え方そのものは、捨て去る時期に来ていると言うのが私の基本的立場です。
消費者保護に関して、懲罰賠償、クラスアクション制度の導入による事後規制の方が、官民の癒着、不正を根絶する意味でも合理的であることを、平成14年4月12日以降のコラムで連載していますので、併せてお読みください。

 



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