05/11/03

銀行とは ?(約束手形の病理現象1)10

前回のコラムで説明したように、好むと好まざるとに関わらず、重層的下請け関係の有る業界は、手形取り引きに組み込まれてしまいます。
手形の支払いを受けると、銀行取引がないと手形割り引きをして貰えませんので、銀行取引の停止処分を受けるかどうかが死活問題になって来たのです。
なお、街金融も、銀行取引停止になった業者の手形割り引きには応じないどころか、不渡りを出すといち早く取り立てが始るので、事業者は不渡りを出さないように必死に努力するのです。
では、もとの発注者は何故約束手形を発行するのでしょうか?
川崎製鉄のような大手でも、巨額の銀行融資を受けていましたから、製鉄工場内の各種工事代金や支払い資金として、仮に平均月額20億円の支払いが発生するとした場合、これの支払いの半分を6ヶ月先の手形支払いにすれば、10X6=60億円分の資金余裕ができる計算になります。
このようにして大手企業は、約束手形振り出しによって自分の銀行借入金をそれだけ減らして、下請けや納入業者に自分の借金を押し付けていたのです。
下請けや納入業者は、貰った手形を銀行や高利貸しに割り引いて貰うのですから、お金のない弱者が大手企業の為にお金を借りて金利を払ってやっていた変な社会です。
為替手形は、交通不便な時代に遠隔地取り引きの決済手段として発展しましたが、今では為替手形の必要性がなくなっている事は、前々回のコラム冒頭で説明したとおりです。
このような時代の変化で、今は約束手形ばかりですが、その手形も、強者が弱者を食い物にする手段に変質していると言っても過言では有りません。

 


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