05/08/03

古典文学や歌謡曲の流行と人口移動

話しが変わりますが、古典文学作品などは不朽の名作などと世上言われますし、私もそう思っていました。
しかし昭和30年代の人口移動と歌謡曲、文学作品、漢詩、童謡などの関係を見ますと、「歌は世に連れ」とは言うものの、お堅い漢詩まで時代精神に一致しているのに驚きます。
「プロとは?2」のコラムで書いた昭和30年代以降の大規模な人口移動が、ふる里関連や懐旧の情を謳う流行歌や和歌、短歌その他文芸作品を大流行させました。
三橋美智也などの歌手がふるさと関連の歌詞を謳って大ヒットしていたのは大規模場人口移動が齎したものでといえるでしょう。
流行歌に限りません。
キャンプファイヤーなどで良く謳われた「母さんが、夜なべをして、手袋編んでくれた・・・」などもそうですね。
「うさぎ追いしかの山・・・・」の「ふるさと」、郷愁を誘う「赤とんぼ」などもその一種でしょう
ふるさとを謳った啄木の詩歌「ふるさとのなまりなつかし停車場の・・・・」「石をもて追わるるごとく・・・」「ふるさとは有り難きかな・・・」
室生犀星の、「ふるさとは、遠きにありておもうもの、・・・・・」などがもてはやされ、
漢詩で言えば、李白の有名な「静夜詩」も最後は「・・・頭を垂れて故郷を思う」と結ばれています。
また清少納言の、「香炉峰の雪は簾を撥ねて見る」で有名な白楽天の詩も、最後の句は「故郷なんぞ独り長安のみに有らんや」でむすばれています。
万葉集の「うね女の袖吹き返すあすか風、都をとおみいたずらに吹く」という懐旧の情もその仲間でしょうか?
こうして数え上げればきりがない程、文学の世界でも故郷を離れたテーマがその頃もてはやされました。
不朽の名作とは言うものの、これを、何時の時代でも心にしみるかと言うと、そう言うものでも無さそうです。
この頃の若者は、都市2世が中心ですから、「啄木って何、樹木の名前?」と言う感覚になっているのではないでしょうか?
転勤族の家庭で育った人は、ふる里を懐かしむどころか「ふる里は?」と聞かれても答えに窮するだけでしょう。
不朽の名作が有るには違い有りませんが、それが時代の流行になるかどうかは、まさに時代が決めるようです。

 



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