04/17/07
法と道徳3(取り締まり法規の発達1)
このように、匿名性が進み、地域社会が崩壊し家族の紐帯も緩んでいる現在では、道徳律での縛りが機能しなくなりつつあるのが、現在社会の特徴でしょう。
これを守らせるには、事業者に対しては、業界ごとの自主規制に留まらず業界別の行動指針を強制し(取り締まり法規に昇格させ)、これを守らないときには、各種事業登録の停止や取り消し、さらには無登録事業に対する刑事罰を強化するようになったのです。
これによって、ひとつひとつのマナー・ルール違反が刑事罰の対象になる程でないときも、(表示を誤魔化しても詐欺罪にまではならない様な微妙な事件が多いし、厳しい取り立ても恐喝までは行かないことが多いのです。)登録取り消しや業務停止処分(の脅しで)で業者にルールを守らせるようにし、業務停止処分や登録違反に対する刑事罰で、間接的に処罰の対象とする方法が発達したのです。
雪印事件その他の食品衛生関係の違反、証券取引法関係の違反、会計基準の違反・あるいは月賦販売法や先物取引関係法、宅建業法など、現在社会では数え切れないほどの業法があるのは、みな同じ思想で、業界業種別の取り締まり法規が必須の時代が来ているのです。
これは、自由主義経済かどうかの問題ではなく、旧来型の「刑法に触れさえしなければ良いだろう式」犯罪スレスレ行為をする非常識な人が増えてきたことと、専門分化してきて平均的基準が分かり難くなって来たことによるのです。
また刑罰では、過失で表示ミスをした場合は、故意がないとして無罪になりますが、業法では従業員の過失であろうがなかろうが、企業自体に対して結果重視で処分が可能なところも大きな差です。
従業員のミスだろうが、社長の指示によったのだろうが兎も角何らかの処分対象にはなるのです。
(その内容によって、始末書で済んだり業務停止期間の差など情状は少し違います。)
このように、本来は道徳律に任せるべきであった分野まで法が介入せざるを得なくなったのは、道徳教育が行き渡らないからではなく、職業別専門性(価値観の分裂)の発達と人の目が気にならなくなった社会・・匿名社会化が、大きな原因でしょう。
(教育政策の問題でも有りません。)
商売の場合には、類型的被害の広がりがあるので、社会問題化しやすく、商道徳に任せずに、これを業界別の取り締まり法規にして縛る方式が早くから発達してきたのです。
モラル上、社会問題になる順に、取り締まり法規化されて行くのが普通ですので、(たとえば公害企業では、排煙や水質のデータの法規など)各種業法発達の経過を見れば、その業界ではどの分野のモラルが弱かったのかがわかるでしょう。
貸金業法・・金融庁のガイドラインでは登録資格に経営者が禁錮以上の刑に処せられた事がないとか暴力団員ではだめだなどの規定・あるいは夜中まで督促してはいけないなどの規定がありますが、こう言うことが問題になるような業態であった歴史を表わしているのです。
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