04/06/07

権利移転(民法192)意思主義2と横領罪2(刑法74)

私は今から20年ほど前に、農地を時効取得した人が、名義変更を求めていたら、元地主が第3者にイキナリ名義を変えてしまった事件を受任したことがあります。
せっかく時効取得しても、時効取得による所有権移転登記を受ける前に、第3取得者が登記をしてしまうと、登記の対抗要件の問題になって、(2重譲渡の場合と同じです)その第3取得者には、時効取得を主張できなくなるのです。
元地主はこの制度を悪用したのですが、民事的にはどうにもならないのですが、
「時効が完成したときに私の依頼者が所有権を取得していた」
筈だからと言うことで、これを横領罪で刑事告訴したことがあります。
本当の買主ならば私も黙っていたのですが、いかにも名義だけ変えた形跡が濃厚だったので許せないと言うことで刑事告訴したところ、見事に図星であったらしく、その農地の名義を私の依頼者に返してきたのです。
(時効取得・・すなわち、こちらが実際に農地を耕しているのですから、人の耕している土地を本当にお金を出して買う人は滅多にいません。)
ま、これは、意思主義そのものではなく、登記は対抗用件に過ぎないと言う観点から告訴した事件でした。
これで検察が少しばかり動いたのは、時効で実際に耕作している方からの告訴ですから、何とかなったのですが、その土地を占有もしていないで、契約だけで自分のものになった「筈」と言う理屈だけでは警察や検察は多分動かなかったでしょう。
ただし、この種の事件は警察では、扱わないでしょうから、検察庁へ直接告訴した事件でした。
ところで、意思主義・意思表示だけで所有権が移転するという意味は、
たとえば、店先で、
     「そのパンを下さい・はい」
と言った途端に、パンを手渡される前に買主がそのパンの所有者となると言う意味です。



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