04/05/07
権利移転(民法191)意思主義2と横領罪1(刑法73)
意思主義とは、意思表示が合致した瞬間に、その効力が出る・・・何らかの外的行動を必要としないと言う意味です。
この家を売る・買うと言う合意が成立した瞬間に、その家の所有権が買主に移転し、代金支払いや家の引渡しはその後始末に過ぎないと言う法理論が必要に迫られて出来て来たのです。
登記は、意思表示とともに所有権が移転した、あるいは物権設定をしたその効果を第3者に知らしめるものになったのです。
民法の権利関係の冒頭に出てくる基本原則ですから、ここで紹介しておきましょう。
民法
(物権の設定及び移転)
第176条 物権の設定及び移転は、当事者の意思表示のみによって、その効力を生ずる。
(不動産に関する物権の変動の対抗要件)
第177条 不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成16年法律第123号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。
(動産に関する物権の譲渡の対抗要件)
第178条 動産に関する物権の譲渡は、その動産の引渡しがなければ、第三者に対抗することができない。
この意思主義によれば、契約成立と同時に買主に所有権が移転しているので、売主がカラの名義だけ残っているのを利用して2重売りすれば、刑法上横領罪が成立することになります。
刑法
(横領)
第252条 自己の占有する他人の物を横領した者は、5年以下の懲役に処する。
2 自己の物であっても、公務所から保管を命ぜられた場合において、これを横領した者も、前項と同様とする。
2重売りされれば、先に契約した買主は、登記の対抗要件で負けますので、民事的にはどうにもならないのですが、もしかしたら刑事事件に出来るかと言うことです。
しかし、わが国では、実際には元所有者保護の社会意識が牢固として残っているので、警察は簡単に動きません。
それで、これは観念的な救済に留まっていますが、一応そう言う法律構成になるのでうっかり2重売りすると警察に告訴される事があるので気をつけた方がよいでしょう。
関連ページリンク
©2002,
2003, 2004, 2005, 2006 稲垣法律事務所 ©弁護士 稲垣総一郎
Design
/ Maintained by Pear Computing LLC
