04/05/07

権利移転(民法189)と信用(契約)

近代社会・・世界交易社会の本質は、前近代の所有権中心・しかもその財産の基本を土地=不動産と言って転々流通しない前提の社会から、何から何まで(近代から現代に至っては、今や、お金まで売買の対象です)取り引きの対象になった社会と言えるでしょう。
この時代の価値観は、保有者の保護も必要ですが、商取引の保護・・買主保護とのバランスが必要です。
言うならば静的な所有権オンリーの時代から、債権の保護・・動的取り引きの保護へと言う時代でしょう。
我妻栄博士の言う「近代法における債権の優越的地位」が妥当する時代です。
「近代法における債権の優越的地位」の本が出版されたのは、戦後の20年代末ころですが、この論文自体は昭和4年から6年にかけて連載されたものを、体系的に書き直したもののようです。
では、そのころから日本がそう言う社会状況になっていたのかというと、まだまだ日本はそこまで行ってなかった筈です。
そのころの学者は、留学先で観察した社会やその地の最先端で活躍中の学者の論説を読んでヒントを得たりして書くことが中心でしたから、言うならば当時欧米の先進的社会状況から得た卓見であったと言うべきでしょう。
だからこそ、わが国では一歩先んじた考えであったので、戦後の民法学の基本となった・・・影響力が大きかったとも言えるです。
近現代の特長は、目的物を手にするまで信用出来ないのではなく、約束だけで自己のものにしたと実感できる・・・「信用」こそが重要な時代が来ているのです。
日本のように、既得権保護目的の対抗力・現物を手にするまで安心出来ないと言う制度や思想では、信用を基礎とする取引が進みません。
いかなる約束があっても、現物を手に入れるまで、どうなるか分からない社会では、本来の約束・・信用と言う言葉が重みを持たない社会でしょう。
結果重視の世界では、事前の約束事は、その結果をオーソライズする機能・・・「不法占有でないよ」と言い訳する役割しか持たないのです。



関連ページリンク

Powered by msearch
稲垣法律事務所:コラム:検索

検索ベースはこちらから

 


コラムTOP

リンクを当コラムにはられる方はお読み下さい

©2002, 2003, 2004, 2005, 2006 稲垣法律事務所 ©弁護士 稲垣総一郎
Design / Maintained by Pear Computing LLC



ブログ
株式投資