04/03/07
権利移転と恩恵4(民法185)贈与の取り消し
2重売りされた方は、2重売りした売主相手に損害賠償請求すれば良いだろうと思うでしょうが、2重売りするような人は資金力が無いのが普通ですから、実際には損害が回復され難いのです。
このような関係・・ババを引いたら負けと言う関係は、既に11/16/02「エネルギー不滅の法則(民法10)」のコラムで紹介しました。
これは、登記の対抗要件によるものと説明されますが、要するに最後の最後まで、もとの所有者が自由に処分する権利を保護することになっているだけのことではないでしょうか。
不動産所有権移転では、登記の対抗要件を定めるのは、登記制度の特殊性・・公示機能によるというのですが、公示機能は取り引きに入る前に必要な制度ですから、履行の終わり・・ケジメを決める機能を果たしているだけで、登記の対抗要件とは関係がない筈です。
先に登記した方が勝ちと言うのは、取り引きに入る前の信用保護の問題ではなく、結果重視の問題だからです。
(既得権重視・・どこまでやったら勝負ありとするか・・一定のところまでやってしまった方が勝ちという制度です。)
登記や動産引渡しを対抗要件とする制度は、公示機能ではなく
「そこまで行けば、もう取り消し・撤回やり直しが出来ない」
と言う段階を定めたものと、理解したほうが、分かりよいでしょう。
最後の最後まで現所有者の勝手次第と言う制度としては、贈与取り消し制度があります。
書面によらない贈与契約は、履行(登記や引渡し)が終わるまでは、贈与者が気が変わったら自由に取り消しできるのです。
無償だからいつでも、取り消し(気が変わっても良い)が出来ると説明されますが、もともと物の保有者が、実際に手放すまでは、その人の権利が残っていて自由に出来る・・約束事の効力の弱かった時代の名残と見れば、分かり良いのではないでしょうか?
民法
第549条 贈与は、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。
(書面によらない贈与の撤回)
第550条 書面によらない贈与は、各当事者が撤回することができる。
ただし、履行の終わった部分については、この限りでない。
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