04/28/06
精神病者の対策(心神喪失者医療観察法)1
今の時代には、政府に対する暴動さえ防げればいいのではなく、健康被害、子供の殺害・誘拐などの弱者に対する加害行動も抑止できないと、政府の責任として体制内の野党からの攻撃に曝されます。
しかし、弱者に危害を加える程度の能力を持つ、無気力者や変質者は、いくらもいますし(昔からいたのですが、社会で問題にしなかっただけです)、これまでこの程度の問題には、政府・・・・すなわち識者もあまり係わってこなかったので、これに対する歴史的な社会の蓄積がないのです。
犯罪に対しては、04/20/06「功利主義とは?(罪刑法定主義1)」以下の連載で、ベッカリーアの「犯罪と刑罰」の紹介をしました。
犯罪に対しては、このように古くから学問的な方向からの研究が進み、どのようにして犯罪を減らすかの研究対象にもなってきたのです。
さらに、これに加えて、学問的かどうかは別として社会的合意として、これまで書いたように若者の血気を抜いて緩めるための社会的システムも発達してきたのです。
(祭りやスポーツなど発達の社会的意義として書いて来ました。)
これに対し、精神病者に対しては、単に隔離するくらいしか考えてこなかったのが、最近までの状況と言っても過言ではないでしょう。
もっとも、開放化に努力している先進的な精神病院も多くあり、千葉ではこうした先進的病院を毎年司法修習生の見学先にしていますが、全体の傾向を書いているのです。
いろいろな対策にも拘わらず、犯罪を犯してしまった者に対して、さしあたり拘禁してしまうのが主流であるように、精神病者や精神病質者に対しても、どうして良いか分からないので、隔離政策が中心であったのです。
昨年から始った心神喪失者医療観察法の制度は、殺人などの重大犯行に対し、心神喪失等で無罪になったり、起訴猶予処分になった場合に、
「刑務所に入れないならば、野放しをして置けない」
と言う俗な立場で、一種の保安処分制度を作ったものです。
この処遇の要件とされた再犯の可能性については、学問上どうして判断できるのかと言う点が立法時の争点でしたが、この要件を削って成立したものです。
私は、この法律施行後の千葉での第1号事件を昨年夏に担当しました。
第1号事件であることからでしょうか?
それぞれの分野で、担当者が気負っていたらしく、地裁では刑事部の所長代行判事が担当し、鑑定担当医としては、精神医学会の旗手らしい気骨のある人が担当してくれたのが良かったのです。
この事件では、鑑定医の断固たる鑑定意見の御蔭で、入院によらない処遇を勝ち取ることが出来ました。
実際、この事件を起こした人は、その春先に脳梗塞を起こしたことが原因で、視床部位に損傷が生じて、これが原因で(そうした事例が多いので、これが原因だろうと言う程度の推測で科学的に確定したものでは有りません)被害妄想になってしまったもので、これまで精神病歴はありませんでした。
被害妄想で夫を刺してしまった事件でしたが、足腰の不自由によるストレスその他の複合要因の除去をすれば、被害妄想症状の緩和に役立つ可能性があるというものでした。
そこで、リハビリなども一緒にやれる総合病院でのケアーが相当と言うものでした。
法が予定している専用の病院では、多種多様な治療需要に応じられないからです。
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