04/23/05

多様な夫婦?12(重婚的内縁1)民法140・刑法31

ところで、遺族年金受給権の可否に関しては、反倫理性の程度を検討するということになれば、04/18/05「多様な夫婦?6(厚生年金保険法2)遺族厚生年金給付と内縁3」にホンのちょっと紹介しましたが、重婚的内縁を素通りすることは出来ません。
ご存知の方が多いと思いますが、正式離婚せずに事実上別居していて、しかも別居した夫の方が他の女性と内縁関係になっていた状態を、重婚的内縁と称しています。
勿論女性が、別居後別の男性と内縁関係になる場合も同じですが、その男性が根っからの独身であれば、遺族年金受給権の取り合い問題が起きないのですから、現在社会で問題になるのは男性が重婚的な場合だけです。
今は、男性の厚生年金が女性の固有の年金受給額よりも高額であることと、女性のほうが長寿であると言うことから正式な離婚をしないまま夫が死亡した場合、その遺族年権受給権が法律上の配偶者と内縁の妻のどちらにあるかを巡って、長年争われてきたのです。
この場合はいわゆる重婚的内縁ですし、これまで見てきた非倫理性という区分けから見れば、重婚自体は単なる民法違反どころか刑法で処罰されるほど非倫理性が強いものです。
勿論ここで問題となっているのは、重婚「的」内縁であって重婚そのものではありません。
実際は、民法で以下のとおり重婚が出来なくなっているので、この法に違反した戸籍届出も受けつけられなくなっているのです。

民法
第732条 配偶者のある者は、重ねて婚姻をすることができない。
第740条 婚姻の届出は、その婚姻が第731条乃至第737条及び前条第2項の規定その他の法令に違反しないことを認めた後でなければ、これを受理することができない。

結婚式をいくら盛大にしても、届け出ないのは婚姻とは言わず、役所に届出てて受理されたときだけを婚姻ということは、06/04/03「婚姻制度 (明治時代の婚姻制度3)13(民法典論争2)」のコラムで紹介しました。
重婚になる場合の婚姻届出は、役所で受付できない仕組みですから、重婚罪そのものはほとんど成立しないので、実際は重婚「的」内縁しかないというわけです。
例外的場合とは、窓口で間違って受け付けたときや(これも届出書式の関係で実際以上ありえない仕組みです)後日前婚の離婚無効判決が確定したときなどしか考えられないので、実際は死文化している法です。
刑法を紹介しておきましょう。

刑法
(重婚)
第百八十四条 配偶者のある者が重ねて婚姻をしたときは、二年以下の懲役に処する。

その相手方となって婚姻をした者も、同様とする。民法的禁止にとどまらず、刑法で処罰までしようとしているのですが、皮肉にも、重婚的内縁に関しては最高裁・地裁レベルでは、法律婚の破綻と形骸化を条件として、内縁関係自体の非倫理性は一切問わないという流れが定着しているのです。(一つ二つの判例ではないという意味です。)



関連ページリンク

Powered by msearch
稲垣法律事務所:コラム:検索

検索ベースはこちらから

稲垣法律事務所コラム内:社会、サービスに関するコラム
稲垣法律事務所コラム内:役所に関するコラム
稲垣法律事務所コラム内:公共、福祉に関するコラム
稲垣法律事務所コラム内:民法に関するコラム


コラムTOP

リンクを当コラムにはられる方はお読み下さい

©2002, 2003, 2004, 2005, 2006, 2007, 2008 稲垣法律事務所 ©弁護士 稲垣総一郎
Design / Maintained by Pear Computing LLC



ブログ
株式投資