04/22/05

多様な婚姻制度10(近親婚禁止思想の由来1)

4月21日・・・・1で紹介した最高裁判例(昭和60・2・14)に戻りますと、婚姻禁止規定に反して夫婦関係に入った場合、夫婦の実態があろうがなかろうが、またその反倫理性の程度にかかわらず、問答無用で受給権否定のようにも読めます。
たまたま、その事件は直系姻族であったから倫理違反性が強いという判断に過ぎず、法の禁止の強度差によっては、結論がいろいろ別れると言うことになればいいのですが・・・・。
4月19日に紹介した東京地裁事件(H16・6・22)に対する上級審での判断が気になるところです。
ところで、近親婚の禁止という考えは、何故あるのでしょうか?
近親婚をタブーとする考え方は、古来どこの民族にもあって、これが漢民族では「同姓娶らず」に結実しているわけですが、ここでは法律学的なアプローチをしてみましょう。
以下の説明は、広島修道大学教授竹中康之氏による上記東京地裁(H16・6・22)の叔父姪関係の判例に対する、判例評論554号4記載の論文を下敷きにしたものです。


「近親婚禁止については、従来優生学的見地と社会倫理的見地にその根拠を見出しうるものと解されてきた。」(宮井忠夫「家族法教室」有斐閣昭和53年13頁)
「近親婚を嫌悪する社会倫理も子孫への悪影響を回避しようとする生物的本能から発露したものと解せないこともない」
「だが、優生学的配慮の観点から婚姻禁止が強く求められる近親の範囲については確固たる科学的な立証は存在しない。」
「またどのような範囲の近親を婚姻禁止の対象とするかについても、万国共通の普遍的な基準が存するわけではない。」
「傍系血族間での婚姻の規制については、各国法制にかなりのバリエーションが見られる。」
「概して言えば、西ヨーロッパでは傍系血族間での、婚姻の規制は緩やかであり、
叔父と姪のような傍系3親等の血族間の婚姻も、ドイツ婚姻法(4条)やスイス民法(95条)では認められている。」
「わが国においても農村部では、親戚同士の結婚が多いと言う地域的特性があった。」
「本判決の事実認定でも原告の出生地やその後に生活した町では、親が婚姻の決定権を持っており、
いとこ同士の結婚を筆頭として内婚(親族間の婚姻)的な傾向が強いこと、このような婚姻慣行・婚姻意識を有する地域においては、
非常に近い姻戚関係での結婚がむしろ受け入れられる土壌があることが認定されている。」



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