04/20/05
多様な夫婦?9(内縁の種類5と遺族厚生年金給付4)非合法内縁1(叔父と姪)
話がまた横へ行きますので、元に戻しましょう。
その女性が(と言うよりも担当弁護士と言うのが正確かも?)審査結果について納得しないので、訴えたところ、東京地裁(H16・6・22)は受給権を認めました。
以下にその判断を紹介しましょう。
(保険給付すべきかどうかは) 「公的保護の対象にふさわしいかどうかと言う観点からの判断を要請されるものであって、その判断にあたっては公益的観点からの考慮も要求されることは否定し難いところである。」
国家としては法秩序違反を、無視出来ない点を先ず書きます。穏当な書き出しです。
「しかしながら、厚生年金制度は、労働者の老齢、障害、又は死亡について保険給付を行い、労働者およびその遺族の生活安定と福祉の向上に寄与することを目的」とする制度であって(法1条)
そのなかでも遺族厚生年金は、被保険者又は被保険者であった者によって生計を維持していた遺族の生活安定のために給付されるものであり(法59条)」
「婚姻秩序の維持を目的とする民法734条とは、その目的を異にしているのであるから、・・・・・仮に民法上は禁止される近親婚関係にある者に対して遺族厚生年金が給付されることになったとしても、
それは遺族の生活保障と言う厚生年金制度独自の観点からの行為なのであるから、これによって直ちに国が近親婚を公認したことになるものでもない。」
と厚生年金制度は生活保障のためにあるのであって、民法とは法の目的を異にしていることおよび、この結果、民法で違法であれば=厚生年金法で違法であるとは言えない旨が宣言されます。
さらに実際的にも「厚生年金制度は拠出制の年金制度であって、その財源には、一部国庫負担金が含まれているとは言うものの、(法80条)被保険者が納入した保険料がその相当部分を占めていることも事実であり、」
「この点を捉えれば、労働者が、自己の費用負担において、自らの家族の将来に備えるという側面をも有していることも否定し難いのであるから、受給権の・・・・・判断にあたっては、被保険者が保険料を納付していたにもかかわらず、公益性等の観点から受給を否定するに足りるだけの事情があるかどうか・・・・・検討をする必要がある。」
ご尤もというところでは,ないでしょうか?
給料から強制的に天引きされたり、自分で年金を真面目に納めてきたのですから、取るだけ取っておいて、後で払わないというのはおかしいですよね。
そこで、
「婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者」にあたるかどうかを判断するにあたり、民法734条に違反する反倫理的関係であるから、・・・・・およそ同項所定の者(年金法3条のことです)にあたらないと解釈するのは相当ではなく、」
民法違反だからというだけで、事情如何にかかわらず機械的に否定するのは、法の目的が違うのだからおかしいというわけです。(この点は後に紹介する最高裁判例に抵触するおそれがあります。)
「それが形成されるに至った経緯、態様、その関係が社会一般の通念や当該地域社会において、どの程度抵抗感がある関係として受け止められているものであり、現に受け止められていたのかなど・・・・・総合考慮したうえで、年金的保護の対象となりうるものかどうか判断する必要がある・・・。」
民法秩序違反といっても、事案によっては反倫理性の程度にはいろいろあるのだから、(これまで書いてきたように、日本古来の習俗に合致している場合と古来の習俗にも違反している場合など)これを具体的に検討すべきだという価値感を表明したものでしょう。
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