04/18/05
多様な夫婦?6(厚生年金保険法2)遺族厚生年金給付と内縁3
長寿社会を反映して、ずっと前から、遺族年金受給権や死亡退職金請求権を巡って争われているのです。
ここ20年くらいは、サラリーマンの妻でも自分のための年金加入が定着していると思いますが、それまでは、専業主婦である配偶者・妻が独自の年金加入をしていない場合が多かったのです。
他方で長寿社会になって来ましたので、遺族年金に関心のある方が多くなっていると思います。
ここでは年金額がどうなるかではなく、(それはまた別の機会に紹介しましょう。)誰に請求権があるかの争いです。
遺族年金は、法律上の夫婦であるかどうかよりも、事実上死亡者の収入で生活していた被扶養者の生計を維持するのが目的ですから、届出をしていない内縁の妻にも受給権があるのが原則です。
(皆さん知っていましたか?)
「そう言えば、そうね。」
「実際夫婦関係にあったのだから、いいんじゃないの!」
と当然のように思う方がいるでしょうが、ことは単純ではありません。
離婚に反対して頑張っている法律上の妻や子がいて、離婚問題が解決しない間に内縁関係になった事実上の妻がいる場合、どちらが退職金や年金を受け取れるかは重大な利害があります。
どちらに軍配を挙げるべきかの社会的・政治的な判断を要するものなのです。
通称遺族年金の受給資格を論ずるに当たっては、先ず厚生年金保険法の条文を見ておく必要があります。
厚生年金保険法(昭和29・5・19・法律115号)(遺族)
第59条 遺族厚生年金を受けることができる遺族は、被保険者又は被保険者であつた者の配偶者、子、父母、孫又は祖父母(以下単に「配偶者」、「子」、「父母」、「孫」又は「祖父母」という。)であつて、被保険者又は被保険者であつた者の死亡の当時(失踪の宣告を受けた被保険者であつた者にあつては、行方不明となつた当時。以下この条において同じ。)その者によつて生計を維持したものとする。」
59条では、遺族年金は配偶者その他その条文に規定されたものでなければ受給できませんから、配偶者といえば法律上の妻のようですから一見簡単なようですが、そうではないのです。
一つには、配偶者や子といえども、死亡当時「その者によつて生計を維持したもの」でなければならなくなっていることが、先ず第1です。
これは厚生年金保険の目的が、観念的な権利保障ではなく、遺族の生活保障にあるからでしょう。
(この法律の目的)
第一条
この法律は、労働者の老齢、障害又は死亡について保険給付を行い、労働者及びその遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とし、あわせて厚生年金基金がその加入員に対して行う給付に関して必要な事項を定めるものとする。
その上、第3条では、配偶者の定義が法律上のものに限らないことが、わざわざ書かれているのです。
第1条にあるように、遺族の生活保障が目的だからでしょう。
第3条1・・・・・省略
2 この法律において、「配偶者」、「夫」及び「妻」には、婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含むものとする。ただし・・・以下省略
この条文によって「婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む」ことになっているので、これは一般に言うところの内縁、準婚関係にあるものをいうことが明らかです。
また、この条文があるので、内縁の妻にも受給権があるのだと一般的に思われるようになっているのでしょう。
「条文に書いてあるからもういいじゃないの?何が問題なの?」
と思う方が多いでしょう。
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