04/27/04
過疎地域振興特別措置法(過疎地とは?3)
次に制定された過疎地域振興特別措置法(昭和55年法律第19号)の過疎地域の概念を見ましょう。
目的
「人口が著しく減少したことにより地域社会の機能が低下し、生活水準及び生産機能が他の地域に比較して低位にある地域について、生活環境、産業基盤等の整備に関する総合的かつ計画的な対策を実施するために必要な特別措置を講ずることにより、これらの地域の振興を図り、もって住民福祉の向上、雇用の増大及び地域格差の是正に寄与すること。」
前回のコラムで,国土庁の説明を紹介しましたが、前の法律の成果が上がったので予定通り失効させたと言いながら、同時にこの法律を制定しているのです。
目的は、緊急措置法と殆ど変わりませんね。
前の法律(緊急措置法)の定義では、人口の急激な減少により「地域社会の基盤が変動」した場合となっていたのが、今度の振興法では人口減少によって「地域社会の機能が低下」した場合と変わったのですが、言葉の遊びの部類でしかなく何の違いが有るのか分りません。
尤も、目的としては、前者が、「人口の過度の減少を防止」とあるに対し、後者は、減少し過ぎてもう人がいなくなったせいか分りませんが、人口減少防止目的はなくなり、「地域の振興を図り、・・・・格差是正」などになっています。
国土の均衡ある発展という意味でしょうか?
しかし、過疎の問題の最初に書きましたように、過去に人が一定の場所にいて、それが減少する途中が問題なのであって、国土そのものの均衡などと言う物理の問題の為に税金を使う必要はありません。
人がいなければ、北海道の原野にまで公衆便所や学校を一定面積あたりの平均値で設置する必要はないのです。
役人と言うのは、一度制度が出来ると幾らでも目的をずらして温存するのが習性です。
10/29/03「相続分3(民法105)(配偶者相続分の変遷1)(ホワイトカラー層・団地族の誕生)」のコラムで、住宅政策の歴史を少し紹介しましたが、住宅政策について、住宅公団が順次名称や目的が変わって都市整備公団に変わって存続しているのと同じでしょう。
これでは役人が減らないどころか、無駄な公共工事がなくなりません。
パーキンソンの法則があるのは、役人の失業への恐怖があるからでしょう。
話がそれすぎますので、この問題は別の機会に書きましょう。
過疎地域の要件も考え方は、似たようなものですが、減少率が下がってきたので、そのままでは、過疎地該当市町村がなくなってしまいます。
新しい法律を作る理由がなくなるので、減少率をぐっと下げました。
この法律では下記のとおり、0,2にしたのを見ると、減少率が厳しくなったようですが、緊急措置法は、昭和35年に比べて、5年後の昭和40年の国勢調査による減少比率が0,1だったのですから、僅か5年間の比率なのに対し、昭和55年の振興法では、昭和50年の国勢調査と35年の国勢調査の比率ですから、15年間の減少率、即ち3倍の期間にして、率だけ倍にしたのですから実際は、減少率の緩和だったのです。
別の見方をすれば、緊急措置法では、過疎地の対象が35〜40年の5年間で0.1以上の減少率だったところが、振興法ではさらに昭和40年から50年までの10年間で0,1以上の減少率であれば良いと言うことですから、率にすると半減したことになります。
要するに過疎化の進行とは関係なく、過疎地?(私に言わせれば、本来の過疎地ではなく単に地方と言うだけです)と言えば幾らでも予算がつくので、過疎と言う名称の流用を始めたのです。
農業予算と称して土木業者の予算を増加させてきたのと同じです。
財政力指数も、0,4から0,37に変更しています。
過疎の定義が、人口減少が進行しつつあるか否かの比重を軽くし、財政力が弱いかどうかに比重を移してきたのです。
過疎地域の要件(人口要件・財政力要件)
人口要件
昭和50年国勢調査人口の昭和35年国勢調査人口対比減少率0.2以上
財政力要件
・昭和51-53財政力指数の平均値が0.37以下
・公営競技収益が10億円以下
*新たな国勢調査結果により追加公示
こうして、法の目的も、人口減少防止目的から、地域格差是正に変わったので、別の法律にしたのでしょうか?
私の解釈ではなく、役所の言い分をそのまま載せましょう。
以下は、振興法にたいする国土庁 地方振興局 過疎対策室 のホームページからの転記です。
「(5) 振興法までの20年間の成果と法の失効
昭和45年以来、法律に基づき、総合的な過疎対策事業が積極的に推進され、緊急措置法及び振興法を合わせた20年間の総事業費は約25兆円となった。その内容は交通通信体系の整備、教育文化施設の整備、生活環境施設の整備、産業の振興等多岐にわたっているが、中でも道路を中心とする交通通信体系の整備が総事業費の半分近くを占めた。
様々な過疎対策の結果、過疎地域市町村の公共施設を中心に整備が進み、例えば市町村道については、改良率が昭和45年度末の9.1%から、昭和54年度末の21.3%、平成元年度末の38.7%へと向上し、舗装率は昭和45年度末の2.5%から、昭和54年度末の27.8%、平成元年度末の54.5%へと向上した。」
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