04/24/04

戦後の農業政策9(農工法と過疎地対策2)地方の活性化に必要なもの

では、農工法が、山村、過疎地の産業を農林業にこだわらず、多様な産業の誘致に成功し、活性化したのでしょうか?
私は、それは無理だったと思います。
地元に工場を誘致しさえすれば、過疎化しないだろうという発想は、おかしいのです。
もともと、工業立地に向いてれば、商売人は誘致しなくても進出しますし、或いは既に地元企業があるはずです。
大都会以外に工業が立地していないのではなく、結構地方にも地場産業があるのですから、補助金をつけてまで誘致する前に、これまでその地方に立地が出来なかった原因の探求こそ重要でしょう。
このことは如何に、補助金を付加しても、儲からない人里はなれた所にデパートが進出しないのを考えれば分ることです。
補助金目当てで進出するのは、長期的視点で操業するのではなく、短期的視点での進出になりがちです。
補助金・即ち初期投資の軽減策が殆どですから、長期操業すればするほど、補助金の単位年あたりのメリットは逓減する計算になるのです。(有り難味は減る)
他方、昭和46年以降の時点・すなわち高度成長期も終わり、安定成長に軟着陸しようかと言う時代に、或いはそれ以降現在まで、過疎地に残っている人材を見ると、都会に出られない中高年者や農業との兼業者、主婦のパートくらいでしかないのです。
そうすると、企業としては、臨時的な立地しか計画できません。
近いうちに老齢化してしまうのが、目に見えているのです。
過疎化防止ではなく、過疎で残っている人が働けなくなる年齢までに、仕事を与える社会福祉的な政策でしかないのです。
僅かに残った、或いは出生してくる若い人は同じ末端労働でも、出来ることなら都会に出たいでしょうし、(本社勤務者が転勤で地方工場に行くのはありますが、初めから過疎地の単純な組み立て加工工場に就職するのでは、夢がないでしょう。)それに過疎地の工業は前記のとおり将来性がないのですから、なおさらです。
私が、「農工法は農村ないし山村の安楽死の法である」と言う理由です。
ところで誘致すべき産業は何でしょうか?
農工法2条第2項を見ましょう。

農工法
2条
1項・・前々回コラムで紹介ずみ
2 この法律において「工業等」とは、工業、道路貨物運送業、倉庫業、こん包業及び卸売業をいう。」

現場労働が中心ですし、実際過疎地や山村に、いきなり高度な産業が立地するべくもありませんよね。
千葉近郊でさえ、進出する工場は現場作業が中心で、その殆どがパート労働者です。
こう言う工場があるからといって、若者が地元に残るでしょうか?
都会に出られなかった農家の主婦などが、老人になるまでの仕事場になるくらいです。
真実の過疎地対策とはどういうものでしょうか?
以前、教育の連載コラムの途中で、例えば10/02/03「地方自治と人材3(憲法38)」で少し触れましたが、中央集権政治、中央集権教育制度を改めないまま、形だけ工業誘致をしても、本当の人材定着、ないし過疎地の回復はありえません。
過疎地の問題は、地方の抱える問題が極端に現れた徴表なのです。
地方から人材が出れば、直ぐ中央で吸収する仕組みにしたままでは、本当の優れた地場産業は生まれないし、現存する産業も衰退する一方です。
そうした仕組みを温存したままで、地方に最末端の仕事場を提供しても「直ぐ死ぬなよ」と言ってるだけみたいなものです。
政府とすれば、そのうち過疎地の人間そのものがいなくなれば、過疎地でなくなるのですから、それまで形だけでもなんかの産業を誘致して、お茶を濁して安楽死を待っているだけなのでしょう。




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