04/22/04
戦後の農業政策7(農振法と農工法2)
前回のコラムで見たように、農地転用許可制度の中に、農工法の適用を受ければ、無許可で良いとされているのですから、農業保護策と言うよりも、工業優先政策であることが鮮明です。
この頃から、農振政策とはいうものの、工業化できるなら農地をつぶしてでも工業化した方が良いという意図であったことが明らかです。
それとも、どちらでも良いから農村にお金をつぎ込もうというところでしょうか?
ついでに、農村地域工業等導入促進法(以下略して農工法といいます。)も紹介しておきましょう。
農村地域工業等導入促進法(昭和46年法律第112号)
(目的)
第1条 この法律は、農村地域への工業等の導入を積極的かつ計画的に促進するとともに農業従事者がその希望及び能力に従つてその導入される工業等に就業することを促進するための措置を講じ、並びにこれらの措置と相まつて農業構造の改善を促進するための措置を講ずることにより、農業と工業等との均衡ある発展を図るとともに、雇用構造の高度化に資することを目的とする。」
農工法の目的として「・・・・農業と工業等との均衡ある発展を図るとともに・・・」とは言うものの、本音は、その前に書かれている「農村地域への工業等の導入を積極的かつ計画的に促進するとともに農業従事者がその希望及び能力に従つてその導入される工業等に就業することを促進するための措置を講じ」るのが目的でしょう。
前回のコラムで書いたとおり、工業用地の候補地は平地の優良農地が殆どとなれば、巨額の国費を投じて、大規模工事をしたところが(改良地区)殆どですから(畑地は別です。)工業用地転用は、本来農業とは両立できないはずです。
ところが工場進出となれば、いとも簡単に転用が認められ、巨費を投じて造成した水田が、埋め戻されてしまうのです。
まさかせっかく農業振興すべき地域として指定したところを、いきなり補助金まで使って、工業用地に変更を認めるわけはないだろうと思う読者が多いと思いますがそうではないのです。
次の条文を見てください。
(定義)
第2条
この法律において「農村地域」とは、次に掲げる市町村の区域(大都市及びその周辺の地域で政令で定めるもの並びにその人口が政令で定める規模以上である市の区域のうち、政令で定める要件に該当するものを除く。)をいう。
1.農業振興地域の整備に関する法律(昭和44年法律第58号)第6条
第1項の規定により指定された農業振興地域又は同法第4条
第1項の農業振興地域整備基本方針において農業振興地域として指定することを相当とする地域として定められた地域の区域の全部又は一部がその区域内にある市町村
2.前号に掲げる市町村以外の市町村であつて、山村振興法(昭和40年法律第64号)第7条
第1項の規定により指定された振興山村の区域の全部又は一部がその区域内にあるもの
3.前2号に掲げる市町村以外の市町村であつて、過疎地域自立促進特別措置法(平成12年法律第15号)第2条 第1項に規定する過疎地域をその区域とするもの」
《改正》平12法015
《改正》平13法014
先ず工業誘致すべき「農村地域」とは
@農振法指定地域等のある市町村A山村振興法による振興地域、B過疎地域自立促進特別措置法(平成 12年法律第15号)第2条
第1項に規定する過疎地域をその区域とするものの
3地域に限定されます。
要するに税務上の特典その他の補助金を使ってでも、工業を誘致すべき地域としては、農振法指定区域のある市町村が第1順位に来るのです。
4月19日に紹介した農振法の第2条をもう1度見ましょう。
農振法
(農業振興地域の整備の原則)
第2条 この法律に基づく農業振興地域の指定及び農業振興地域整備計画の策定は、農業の健全な発展を図るため、土地の自然的条件、土地利用の動向、地域の人口及び産業の将来の見通し等を考慮し、かつ、国土資源の合理的な利用の見地からする土地の農業上の利用と他の利用との調整に留意して、農業の近代化のための必要な条件をそなえた農業地域を保全し及び形成すること並びに当該農業地域について農業に関する公共投資その他農業振興に関する施策を計画的に推進することを旨として行なうものとする。」
第2条は、こ難しく書いていますが、19日のコラムで「大して役に立たない」と書きました。
「農工法優先適用地域が、農振地域または農振指定地域のる市町村である」と言う農工法第2条の条文は、如何に農振地域指定がいい加減であるか、或いは役人のさじ加減でどうにでもなることの証明みたいなものです。
と言うのは、役人が大勢で考えて多分審議会でも慎重審議して、農振法第2条の原則該当性を審査し、農業を振興すべき地域として指定し、巨額の国費を投じたはずなのに、そこが工業立地できるなら、何の審査もなしにオ―ケー(農地法4条で紹介しましたが、農工法該当の場合は農業委員会の許可が要らないのです。)と言うのでは、「何を審議していたの?」と言いたくなるのは私だけでしょうか?
尤も農振地域そのものではなく、農振地域を全部または一部含む市町村と言うのですから、必ずしも農振地域そのものと重なるとは限りません。
農振地域指定のある市町村にも、当然、水田でも畑でもない、なだらかな斜面などがあります。
そうした何の用途にも使っていない、なるべくなだらかな斜面を造成して、既存農地を侵害しないように、工業団地の造成をするのでしょう。
それはそれで、土木業者の大仕事になるのです。
真面目に農振地域を指定していることを前提とするならば、農振地域を農工法予定地から法律上ではずすべきではないしょうか。
上記のように事実上の運用ではずすだけでは、場合によっては農振地域そのものに工業立地を認める道を残すと言う法の宣言でしょう。
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