04/05/04

農地規制2(農地法4)

私有財産権の保障を定めた現憲法下でも、農地法で強力な規制をする根拠は何でしょうか?
自由主義国家とは言っても、自由な取り引きに任せると、零細農家が没落して、みんな小作農に転落してしまうと言います。
農地法は、これを防止するための自作農保護、すなわち小農保護の為の立法だと言うのですから、その立法目的は、03/31/04「男の沽券(こけん)面子とは?2(農地売買の禁止)」のコラムで紹介した寛永の永代売買禁止令と変わりません。
このため、農地法3条の許可申請をすると、審査内容は本当に申請人が自分で耕作出来るのかどうかが審査の中心テーマになります。
それは一応理屈がとおっていますが、4条の転用制限になると、農家保護とどう言う関係があるのか直ちには(廻りまわって関係があるのは追って順次説明します)分りません。
地域の農業政策の都合を無視できないからと言うことでしょうが、(みんなが水田やっているのに、ひとりだけ、果樹園にしたり、豚を飼うのは困ると言う発想です。)それは政治の問題(工業地域、商業、文教地域、・・・地域と分けるのと同次元で、商業地域と指定したからと言ってその商業を保護する目的ではありません。)であって農家保護とは目的が違ってくるでしょう。
「商店街に居宅を建ててはいけない」と言う法律があり得ないことから考えても、職業選択の自由、所有権の絶対性から見て、おかしな規制だと思います。
水田に関しては、基盤整備などで公的資金を投入していますので、一応理屈がありますが、その代わり、こうした土地は、農地法4条2項で、農振法指定区域からの除外申請が前提になっていますので、農地法で一般的に規制する必要はありません。

農地法をもう一度見ましょう。

農地法
4条1項(転用制限)・・・04/01/04農地法  1(農地売買や利用変更の制限)のコラムで紹介したので省略
2 前項の許可は、次の各号のいずれかに該当する場合には、することができない。
ただし、第1号及び第2号に掲げる場合において、・・・・・・とするときその他政令で定める相当の事由があるときは、この限りでない。
1.次に掲げる農地を農地以外のものにしようとする場合
イ 農用地区域(農業振興地域の整備に関する法律第8条第2項第1号に規定する農用地区域をいう。以下同じ。)内にある農地
ロ ・・省略 2.・・以下省略

農業と言うだけで、他の産業と違った高度な政治判断が何故必要だと言うのでしょうか?
歴史時代に入ってから、農業は人類生存の基本でした。
政権担当者としては、社会基盤である農業の流動化は、体制の基盤の流動化でもあるわけですから、変化を嫌う既存秩序側としては、農地の流動化を警戒するのは必然でしょう。
古くは律令制が、農地が流動化して、荘園領主のものになってしまったことから崩壊したものです。
中国の歴史を見ると、大帝国の末期は常に農民の流民化から争乱が起きているのです。
このように歴史を見ると、「農は国家の大本なり」と言うどこかの文書にあった漢文を思い出しますが、「農」は政治の基礎として重視されて来たのです。
ところが、明治維新政府によって、敗戦までは、放任どころか積極的な無視政策をとられたのです。
明治政府が、世界史上稀な農業無視政策を採用し、その結果どうなったかを次から見て行きましょう。




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