04/29/03
情報収集と機関投資家
投資家とは何でしょうか?
レセップスのスエズ運河開削計画に投資した投資家の例で分かるように、一定の識見に基づいて、起業家の求めに応じて投資する人の謂いでしょう。
その産業の社会的意義や経済動向を考えて、投資に値し、育成して行くべき産業か否かの考えを養う為には情報収集が必要でしょう。
更には、その事業の内容を精査する必要があるばかりか、政治情勢、関連企業の状態も充分把握しておく必要があります。
そのための情報収集は、学問で言えば、ギッチリ勉強するのと同じで必要な事でしょう。
しかし自分で勉強しないで、人の成果を盗み見しょうとするのはカンニングと言って邪道です。
前回のコラムで紹介したような、ニューヨーク市場の値動きに合わせて1秒でも早く売り抜けたり、買い進もうと言うための情報収集は、本来の意味の投資家がする事でありません。
情報の使い道の病理現象でしかないのですが、彼等は本質から外れている事も分からず、自分達が機関投資家であり、プロであると思い込んでいます。
このようなカンニング的情報収集に血道を挙げている職種は、機関投資家に限りません。
日本中の商人が、売れ筋ばかり探って他社の物まねに汲々としている弊害については繰り返し書いて来たところですが、機関投資家がケチな情報収集に明け暮れるのも根は同じです。
根本は、自分の識見を養おうとしないで、安ちょこに人の成果を盗み見して早く行動する人が出世する社会に有るのです。
研究者と言う人種も殆ど同じで、外国または競争会社で新製品ができると、急いで買って来て、これを分解しては構造を調べて、特許に触れない程度に変更した類似の物を作る研究?カンニングが彼等の仕事の殆どになっているのです。
日本中がこういう価値観になってしまった原因は、明治以降後進国家として先進社会で成功しているものごとを、人より早く真似して製品化したり、学説として紹介すれば、必ず儲かったり博士に成れる時代が長過ぎたところに有ると思います。
この結果、真面目に考える人よりも、情報通が有利な社会になって、教育界も、要領良く勉強出来る人材ばかり育てて来たのです。
55年体制は、中小企業を潰して、大企業社員ばかりの社会を作り、均質=情報通=器用に適用出来る人材を量するのに役立って來たと思います。
戦後、あるいは明治以後100年以上の長きに亘って利口な人間ばかり賞賛される社会だったのですから、おおのずから、自分で考えない要領ばかり良い人材が幅を利かすようになったのです。
「55年体制」の連載コラム、「文化発信国家(教育改革)へのコラム」その他これまで私が各所で書いて来たように、これからの日本は、器用な情報通よりも、不器用に生きる自分を磨いた人材を大事にする必要が有ります。
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