04/05/03

不動産競売手続きと最低売却額の機能 5

不特定多数業者が参加するようになりますと、どのくらいの価格で入札すれば、落札出来るかと言う判断は、互いに競争者の出方を推理するしかないのが実情です。
裁判所にコネが有ると言っても何の役にも立ちません。
推理と言っても郵便入札が可能ですので、相手の顔が見えませんから、自分の処分ないし利用可能な価格を前提に入札するより外ありません。
それより高くても採算がとれる業者に落札されたら、自分の競争力が低いと諦めるより外ないのです。
そうなると、「不動産競売手続きと最低売却額の機能 1」のコラムで書いたように、実際に処分や利用出来る価格を厳しく判断し、適正なマージン前後に価格が収束するようになって来たのです。
不動産業者は、少しでも処分可能価格を読み違えて落札しますと、適正なマージンを得て処分や利用が出来ず、赤字仕入れになってしまいますから必死に相場観を磨くしかありません。
このようにして、参加者さえ完全に開かれていれば、刻々に変化する経済情勢に応じた相場が形成されて行くのであって、役所が御大層に大金を投じて相場をきめて誘導する必要はないのです。
最低売却価格は、民事訴訟法あるいは競売法、現行の民事執行法が制定された最初には、限られたプロが競り売り場を支配していましたので、不当な低価格を形成して落札するのを防止し、債務者や債権者保護するために必要な制度でした。
しかし、前記のように徹底した競争になっている現在の競売手続きでは、従来、民事訴訟法や民事執行法が予定していた債務者や債権者保護の為に、最低売却額を設定する必要がなくなったと言えるのです。
今では、まちがって高すぎる価格を設定する事によって、入札者が誰もない事態が起きるリスクが発生するだけ(競売が長引く)の病理的機能になっているのです。
そうなって来ますと、裁判所が高額のお金を使って何のために最低売却額の鑑定をしているのかと言う議論が必要になってくるでしょう。
ちなみに、現在どんな安い物件の競売を申し立てても、執行予納金として40万円前後はおさめる必要があります。
その殆どは、鑑定費用です。
世の中が変わっても既得権がはびこるのはどこの世界でも同じです。

 


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