04/04/02

交通事故と低金利

この前、交通事故について少し触れたついでに、近年の低金利と損害賠償の関係について以前から、考えていた事を一言説明しておきます。 損害賠償請求には、過去の分と将来の分の2種類が有ります。 例えば、一年後に100万円得るはずの収入が、事故の為に得られなくなった時に、即時に賠償して貰うと、1年分の運用益が不当利得となります。そこで1年分の運用益分を控除して支払うのが、基本となります。 手形の割り引きと似た考え方と言えば、商売人には分かりよいかも知れませんね。 民法には、法定利息として、年利5%の規定が有るので約100年も年5%の率で、中間利息の控除をして来ました。 先の例ですと、95万円が損害現価となります。 20年先の収入予定を単純に計算しますと、0円になりそうですが、ライプニッツ方式。ホフマン方式と言う複雑な計算式で、0円にならない事になっていますので、安心して下さい。 ここまでは、損害賠償請求の基本知識のお勉強です。 ところが、バブル崩壊後、超低金利が続いています。 年5%も、運用できる人がいるでしょうか?機関投資家と言うプロでも今は、年2〜3%稼げば良い方で、普通 の人は、0.2〜0.3%行けば良い方ではないでしょうか? 例えば、あと30年働ける人が、交通 事故で亡くなった時に、『今すぐお払いすると、30年間年5%運用できますよ。それで、5%の中間利息を差し引かせていただきました。』と保険会社に説明されて納得できる人は、余程、有能な投資家でしょう。  ところが、わけの分からない計算書を見せられて、『あなたの場合、xxxxx円になりますね。』と言われると、5%も引かれているとは夢にも思わず、保険会社のやる事にインチキが有る筈がないと、直ぐオーケーするのが普通 です。 仮にすぐ納得しない人が、別の保険会社で計算してもらっても、同じホフマンやライプニッツで計算する以上、答えが変わる訳はありません。 バブル崩壊後、低金利が長引きそうに感じた時から、私は『5%も引くのはおかしい』と考えていました。 交通事故は多く手掛けましたが、残念な事に、将来の逸失利益を請求し、中間利息の控除をする事件が、たまたま来なかったので、正面 から主張する機会が有りませんでした。 私と同じ疑問を持つ弁護士がいるらしく、中間利息に関する判例がぼちぼち出始めています。 この事に関しては、理論的な問題は有りますが、5%も引く事は、結論としておかしいのですから、これを解決しないと『法は正義である』と言えなくなるでしょう。 民法の法定利息の立法趣旨は、(制定当時高利が蔓延していた事から)『市場に任せると、金利が高くなりがちなので、これを抑制する為に制定されたもの』と考えれば、 民法は、金利をとるものに対する抑制法であるから、予想運用利益率が5%より、遥かに低い場合は、控除すべき中間利息の利率については、民法の5%に縛られる必要がなくなると思います。




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