03/19/08
サブプライム問題と世界経済5(円の大量供給の功罪1)
日銀が2001年3月に円の量的緩和を決めてから2006年7月の中止までに引き受けた国債総額は約96兆円と言われていますから、この政策決定自体の功罪と2006年7月まで続けたことの是非です。
96兆円の規模は大きすぎてイメージが湧き難いですが、金融による信用創造機能が仮に10倍としたら、1000兆円・・ドル換算で約10兆ドルの過剰流動性を世界市場に放出していたことになります。
これが全部逆流したら、今度は世界中で資金不足が起きて大変な事態になるでしょうが、これは次の出し手(ドル)があってこそ、円の返済が始まったのですから、その点の信用収縮の問題は起きません。
要するに、これまでやっていた円キャリー取引の主役がドルに入れ替わるだけでしょう。
この入れ替わりの防止策は、日本がアメリアカが金利を下げたら日本も負けずにもっと下げる・・商品で言えば、値下げ競争しかないのかもしれません。
しかし、これでは既に日本の金利は今でもアメリカよりも数段以上も低いので、今後はマイナス金利しかありえません。
17日の夕刊で、アメリカの金利下げが大きく報道されて、円の急騰が報じられていましたが、0,25%下げて3,25%になるという程度ですが、日本は長い間のゼロ金利から17日に紹介したようにやっと0,25%に上げたばかりです。
これでは、黒船に和船で向かっているようなもので、まるで低金利競争にならないのです。
ところで、アメリカが日本の真似をしてドルの大量供給政策を続けても、元気のない日米ではあまり効果が無く、関係ない他の国でも既に資金は過剰気味ですから、(そのために資源高騰が始まっていたのです)円資金の引き揚げに対する穴埋めで終わるなら問題がそれほどでもありません。
しかし、アメリカのドル放出の方が円よりも規模が大きいでしょうから、穴埋めだけでは終わらないと言う見通しで金などの高騰が進んでいるのです。
そうなると、世界中がハイパーインフレになってしまいます。
病人が栄養を付けるようにと食料品を手土産にしても、肝心の病人は食べられずに、周りの人が食べて太ってしまうようなものです。
原油の値上がり段階では、中国など新興国の需要が増えたと言う要因で分かり難くしていましたが、最近の金価格の上昇を見れば、資源の需要供給の関係によるというよりは、紙幣の大量発行が紙幣の価値を下げて資源の高騰を招いている側面があぶりだされている・・・古典的な経済問題であったことが分かります。
この円垂れ流し政策は、大量発行された国債の暴落を防いで、その金利の利払い負担を軽くし、しかも円のたれ流しは結果的に円安誘導になるので、貿易立国のわが国の経済回復に大きな役割を果たしました。
関連ページリンク
©2002,
2003, 2004, 2005, 2006, 2007, 2008 稲垣法律事務所 ©弁護士 稲垣総一郎
Design
/ Maintained by Pear Computing LLC
