03/11/08

政策責任者の資格5(惻隠の情と市場経済1)

経済の発展に合わせてケインズ流の改革を続けていたならば、もしかしたら日本にも産業革命またはこれに類似の変化が起こり、幕末ころの政治経済状況は変ったものになっていた可能性があります。

小説家の話が出たついでに言いますと、最近ユーチューブで、見ていたところ、タマタマ、バブル崩壊後何もかも経済中心主義・・拝金主義になっているのが嘆かわしい、世界に冠たる日本の道徳・・・惻隠の情はどうなったのかと主張している作家にインタビュウして、その紹介をしていました。

その主張を書いた本が何百万部も売れていて、人気があると言うのですから、驚くべきことです。

昨今流行の市場原理主義に対する松平定信同様の反動的意見の先祖帰りと言うべきでしょうが、何時の世にも時代遅れの心情にこだわる遅れた人が一定数いるでしょうから、それはそれでいいのかもしれません。

彼は如何に日本人は優れているかを主張して愛国心をくすぐって、右翼系や超保守主義者の歓心を買いながら、市場競争に負けたものに対する不満を代弁しているようです。

そしてこの例として・あるいは救済策として、わが国には、誇るべき?惻隠の情・・心があったと主張するのですが、現在の社会ではこんな古びた概念を唱えさえすれば、解決できる時代ではなく、必要なのは具体的な手当て、制度設計の時代です。

具体的に福祉に回す予算割合をどうするかの議論こそが、惻隠の情の発露と言うべきでしょう。

ところが、彼ら反動的思想家・・右翼・あるいはこれに共鳴するタイプに限って、福祉政策に冷淡な人が多いのですから、矛盾です。

彼が賛美する江戸時代に、今のような貧乏人でも病気になれば好きなだけ入院していられる医療制度や老人ホーム・介護施設、弱者向けのスロ−プなどが、現在の100分の1でも制度として存在したかと言うことです。

神社仏閣に行けば分かりますが、我々普通の男性にもきついようなゴツゴツした石段が普通です。

病気になっても医者に診てもらえず、あるいは飢えて死ぬ人が普通にいたりしても惻隠の情が今よりもあったと言うのでしょうか?

勿論障害者などは、捨て置かれていたり、見世物にされていたのです。

誰でも知っていることを例に取れば、女郎屋に売られたり、人の弱みに付け込んでそれを買春したり・・これが公認されていたのですが、こう言う社会が今よりも惻隠の情にあふれた時代だったと言えるでしょうか?

彼に言わせれば現在は惻隠の情が失われた、あるいは失われつつあると言うことらしいですが、私に言わせれば上記のとおり、現在の方が江戸時代よりはすべての分野でよっぽど惻隠の情が豊かになっているはずです



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