03/06/07
日本の対外資産4(日本の資本運用能力1)
前回紹介した「平成17年末現在本邦対外資産負債残高の概要」によると、過去40年以上も経常収支の黒字が続いていたのに、それが180兆円・・・最近の10〜15年間程度の黒字分しか残っていないだけでなく、平成17年には海外資産残高が減少しているのです。
要するに貿易黒字によって得た過去の累積資金を海外で運用した結果、17年度には、対前年比約5兆円のマイナスと言うのです。
ところで、17年度は後に国際収支表で紹介するように経常収支が約18兆2500億円の黒字ですから、これをつぎ込めば、何もしなくとも、金利収入がなくとも18兆2500億円の増加になっていたはずです。
この対外資産残高の内訳に外貨準備の項目もありますから、平成17年に獲得した経常収支黒字18兆2500億円を運用しないで外貨準備のまま持っている場合も、この資産残高合計にプラスとしてはいっているのです。
ですから、対前年比約5兆円のマイナスと言うことは、この新規積み上げ分を入れてもマイナスになった=23兆円の赤字だったと言うことでしょう。
ところで上記表では、対外資産残高が約506兆円もあるのですから、これに対する利息や配当も半端でなかった筈です。
これらをプラスをしてなお、平成17年の1年間に合計23兆円ものマイナスを出しているということでしょうか。
これに加えて、これはドル表示ではなく円表示ですから、実質的には円の下落分を控除しなければ、本当の損失が分らないのです。
(例えば、円が5%下落していれば、資産総額500兆円×0・05=約25兆円の水増し表示と言うことになるでしょう。
(一種の粉飾決算です)
例えば、トヨタなどが海外に2000億円あまり=20億ドルの外貨を現地法人に出資し、工場建設した場合、海外での株価評価が20億ドルのままの場合でも、この間に円安で1割下落した場合、円評価の対外資産が1割上がったことになる仕組みです。
ここ10年ほど、紙幣発行の量的緩和と超低金利によって円安が急激に進展しましたので、円表示対外資産残高表はかなり下駄を履いた・・・水増し状態です。
粉飾かどうかは別としても、円の下落率分を円表示残高から控除しなければ、本当の対外資産残高が出ないのです。
(仮に対外円表示残高が前年比同じとしても、ドル表示は、1ドル約100余円時代から見れば、約2割〜1・5割減です。)
対外資産残高である以上は、外貨建て(ドルやユーロなど主要通貨国の複数)表示にすべきでしょうし、そうすれば対前年比での増減が1目瞭然です。
表を作る以上は分りやすくすべきでしょうから、外貨建てと円表示の二本立てで表示すべきでしょう。
このように大幅な水増しがあっても、この1年間だけで、1年間の経常収支の黒字額18兆2500億円をソックリ食いつぶして、なお足りず5兆円マイナスになったと言うのですから、その運用能力の拙劣さには目を覆うばかりです。
こうした結果を見ると、よほど下手な人たちが、日本の財産を運用しているとしか思えません。
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