03/27/06
デザイン盗用と電気窃盗3(刑法43)
03/20/06「詐欺罪・不法の利益1(刑法37)」以降、抽象的権利の侵害・・不法利益について説明しているうちに、大分話が横に行きました。
もう一度不法利益に話を戻しましょう。
ところで、目に見えるものだけが重要な財産で、その財物に関し、経済ルール(要は交換ルールです)に反した移動(窃盗、詐欺、横領、強盗恐喝など)だけを処罰すれば、経済社会の秩序が保てた時代が古代以来長かったのです。
もっと昔・・・江戸時代ころからも、産業スパイに類する秘伝の盗みには、各藩が秘策を凝らしていましたが、社会全般に対する影響はそれ程でもなかったのです。
しかし、電気の実用化以来、目に見えない権利の移動が重要な財産となってきたのです。
今では名簿でさえ売買されますし、時代にあわせて、目に見えない財産も保護し、それを犯すものを処罰する仕組みにしないと社会がもちません。
電気製品やその他の規格品は、量産システムの問題ですから、アイデアだけを簡単に盗用しても直ちにどうにもなりません。
トヨタのカンバンシステムを聞いても、直ぐに真似できるわけではないのです。
ベルトコンベアー方式なども、重要な工夫ですから、保護すべき財産かもしれませんが、生産方式そのものは、壮大なシステム投資が必要ですから、真似するにしても時間がかかり、それ程の害悪がなかったのです。
この点、デザインなどは、そのまま殆ど何のコストもなしにコピー可能ですから、
「アイデアや、デザインを盗みたいものに盗ませればいいだろう」
という自由競争に任せるわけにはいきません。
ちなみに盗用とか剽窃と言いますが、長年の歴史を踏まえて、刑法の窃盗は、「財物の窃取」を対象とし、他方民法では
「物とは有体物を言う」
となっていますので、大雑把に言えば「目に見えないもの」は、有体物とはいえないでしょうから、刑法で言う所の窃盗には当たらないのです。
明治40年に刑法が出来たたころには、電気が一般的でなかったので、電気泥棒を処罰する規定がなかったのですが、その後電気を引く時代が来て、電柱から無断で電気を引いた事件が発生しました。
普通の日常用語で言えば、電気泥棒ですので窃盗で起訴したので、当然弁護士は争います。
電気は有体物ではないから窃盗罪に当たらないと言う主張ですが、明治か大正のころの古い判例で、電気は管理可能性があることを理由に有罪とされていますので、注意が必要です。
電気窃盗の判例は、それにしても苦しいこじつけ判例ですので、講学上罪刑法定主義との関係で有名になっているのですが、論理的には無理があります。
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