03/26/06
交換経済と窃盗5(財産権の発達)
上記のように、刑事手続は権力維持機能として発達して来たのですが、その反面として禁止される裏側の生命・財産の大切さも強調されるようになってきます。
交換経済の秩序破りに対しても、個人所有が発達してくると、もっとも利害に敏感な被害者に訴えさせた方が実用的なところから、次第に個人が直接請求できるような権利、民事上の権利に高められ、これにつれて権利概念が発達してきたことが分かるでしょう。
私有権その他の各種権利概念は、権利意識が高まった結果生まれたと言うよりは、政権の方からすれば、何でも刑事にして引き受けるのは、リスクが大き過ぎるのです。
「国民には権利がない、政府が良いようにやってやるから黙ってろ」
と言う反射的利益の幅が広ければ広いほど、政府の結果責任が重くなります。
個人の利害のある分野では、その方面をおだてて、できるだけ民に任せて自分のほうで責任を取らない方が得策だったから、権利概念が発達したに過ぎません。
モメゴトは普通同じ生活圏内で起きますので、選挙区内の支持者同士のモメゴトに地区選出の代議士が半端にクビを突っ込むと、どちらかに恨まれるだけで、何のメリットも有りません。
肩入れして貰った方は、普段応援していたのだから当然の権利と思うだけで、大して恩に感じてくれません。
選挙一回くらいは支持してくれるでしょうが、永久的に支持してくれるわけではなく、その次は、ちょっとした風の吹き回しで、今度は遠慮したいと言わないとも限らないのです。
他方で、敵方に回った方は、仇敵のように一生涯敵になるのですから、政治家はモメゴトの相談を受けると「弁護士に相談したら・・・」と言う程度で逃げてしまうのです。
同じく政権の方も、これの規模が大きくなっただけですから、御家人同士のモメゴトに巻き込まれても、何のメリットありませんから、問注所など別の機関を作って、政治権力の方では触らないようにして来たのです。
これに加えて、経済活動が活発になってくるとモメゴトの内容は複雑化しますから、白黒の判定材料の提出責任を紛争当事者に任せた方が、政権の方では、負担が軽くて済むのです。
これが民事訴訟での、当事者主義の原則に結実していくのであって、民主主義とか3権分立などの政治理念とか、権利意識の発達によるものではありません。
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