03/24/06

刑事手続と私権1(反射的利益5)

反射的利益の現在的意義の関心から、行政訴訟の活性化期待に話が飛びましたが、話を過去・・・旧来の反射的利益の話に戻しましょう。
窃盗についても、交換経済の発展につれて、交換経済秩序維持機能の一環として交換によらない財貨の移動禁止の必要性が生じました。
証券取引が活発になれば、証券取引法と言う証券取引に関するルールに反した取り引き行為が、刑事事件として検挙されるのと同じです。
こうして、当時の唯一の取引法である交換ルールに反した行為として、窃盗が犯罪として処罰されるようになり、年月の経過で、反射的利益として私有財産(権)が保護されて来ただけでしょう。
何時の世にも、治安維持は政権にとって最も重視すべきテーマです。
これまでも書いているように、王制は、市場秩序維持機能から発生したものでしたから、支配領域内で統制がつかず、示しがつかない事態になると政権の信用がガタ落ちになり、転覆につながるのは洋の東西、古今を問いません。
このように、刑事処罰が始った元は、為政者にとって自分の威令が無視されるかどうかの利害があるだけだったので(秩序が守られないと政権転覆に繋がるのは古代から同じです。)、例えば、イギリスでは刑事法廷をキングスベンチ(王座裁判所)・またはクイーンズベンチと呼ばれて来たのです。
この名称だけでも、権力者が如何に、秩序維持に関心を持っていたかが、分かると言うものです。
個人が警察に相談しても、なかなか取り合ってくれないのが、政治問題になっていますが、(桶川スト−カー被害事件)、元々警察は民の関心で動いているものではありませんでした。
警察は、時の権力者の権力維持のための秩序維持・取り締まり機関(マシーン)として発達してきたもので、昔から「権力の犬」と表現されているのは、正しいのです。
こうした歴史から、警察はトータルとしての秩序維持に関心があり、トータルの秩序維持のために個々の犯罪を取り締まり、検挙して来たその反射的効果として、国民の権利保護が発達して来たのです。
あるいは、政権や、警察は国民の協力を得るために、国民の財産・生命身体の保護を言いますが、それは名目に過ぎないので、本心は個々の国民からの要求には、応じたくないのが本質です。
「逆は真ならず」
という原理の応用篇でしょう。
現在でも刑事政策は、権力者の都合でやっているものであって、国民は反射的利益を享受しているだけの世界です。
ただし、行政訴訟法のコラムで書きましたが、過去の歴史は、反射的利益のオンパレードだったかも知れませんが、「おまえの命は、鏡の反射みたいなものだ」と言われれば、国民も「・・・・?」と納得しない時代がきているのです。



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