03/21/06

交換経済と窃盗4(権利と反射的利益1)刑法42

以上みてきたように、交換経済未発達社会での一族・集団内では、自他の所有非所有の区別が明瞭ではなかったので、違法な財産移転は、財産犯と言うよりは、集団支配者の分配権・統制を犯す罪の意識の方が、強かったのです。
考えようによれば、犯罪とはもともと、支配者の命令、命令した結果としての秩序に服さないことが、処罰根拠であって、その秩序罰制裁の反射的効果として(政権側が、取り締まりの大義名分として主張しますので)個人の財産保護や生命身体の保護も加わって来たに過ぎないと言えるでしょう。
殺人や傷害、強盗なども、個人の生命身体保護であるものの、これを守ってやれないと政権が維持できないところから、古代から重視されてきたものであって、個人の生命財産が保護されるのは、その結果に過ぎません。
刑法の書き方を紹介したことがありますが、何かを禁止するものではなく、「何かをしたら処罰する」と言うものですが、もう一度紹介しておきましょう。

刑法
第199条 人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。
第204条 人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

この書き方は、「・・した者は・・処刑する」と言うだけであって、人を殺してはいけないとか傷害してはいけないとは、書いていないのです。
その他、汚職、猥褻すべての刑は、このような書き方をしているだけです。
処刑されるから、結果的に人殺しや傷害行為、窃盗その他の違法行為が自粛される関係でしかないのです。
ましてや、財産権や人命を尊重しましょうとは、どこにも書いていないのが、原則です。
これは、政権側では、「自分の言うことを聞かないと処罰する」と脅かすのが目的で、「何かを保護する」目的がないからだと読めば、分かり良いでしょう。
綱吉の生類憐れみの令では、何々をしてはいけないと言うばかりで、これに違反したらどう言う処罰をすると言う規定がないと批判したことがあります。
綱吉は、権力維持のための処罰法に関心がなく、自分の意思を通すために生類憐れみの令を連発したからなのでしょう。
現憲法13条で、幸福追求の権利の一環として生命その他の尊重が書かれているのは、例外的現象でしょうが、これは、戦時中の人権侵害の後遺症で強調されたに過ぎません。
憲法を見ましょう。

憲法
第13条 すべて国民は、個人として尊重される。
生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。



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