03/20/06

汚職・賄賂2(防衛庁官製談合事件と第3者供賄)刑法39

ついでに、中国赴任の外交官が女性問題で脅されて、自殺したと言う事件がありましたが、女性関係も、ことによると収賄になるのが、前回紹介した判例です。
世間では、中国のやり方がどうのと言う感情論ですが、国際社会は冷厳ですから、そんなこと言ってても始りません。
ここで、気になるのは、この外交官が恋愛した相手は、中国側から差し向けられたものであったとすれば、賄賂をもらった(収受し)ことになるのでしょうか?
頭の体操ですが、犯罪成立には故意がなければなりませんので、この外交官に、中国或いは第3者からさし回しの女性と無償で恋愛ごっこをする故意があったのかどうかが、先ず問題になるべきでしょう。
さらに、上記条文で紹介したように、何らかの職務上の請託を受けていない段階でも、職務に関しての収賄であれば足りるのですから、職務に何する故意があったのかが問題です。
請託を受けていない段階では、職務に関して接待を受けたのかどうかは分かり難いので、立件され難いのですが、例えば、入札関係の役人がその対象者たる業者から接待を受けていれば、「職務に関し」て接待を受けたと認定されやすいでしょう。
また、接待を受ける方も、アカの他人がご馳走してくれるわけがないのですから、自分の職務に関して接待されている認識がないと言っても、対象業者からの接待では、職務に関する接待との認識があったものとして、刑事裁判では認定されてしまうでしょう。
彼(外交官)は、請託を受けた段階で悩んで自殺してしまったのですから、職務に関して近づいて来たのか、相手が怪しい者かなどまるで気付かずに(外交官としては迂闊な話です)交際していて、嵌ってしまったのかも知れません。
この場合、死亡していますので立件する必要がないのですが、防衛庁の官製談合の事件はどうでしょうか?
これは最近の大事件ですが、新聞報道のように、この官製談合は、退職役人の天下り就職を保障するシステムになっていたとすれば、担当者が自分で貰わなくとも、一種の収賄ではないでしょうか?(197条の2「第3者供賄罪」参照)
これを単なる談合事件としか立件しないのでは、検察の処理が甘すぎないでしょうか?
立件するには、証拠上無理があったとすれば、仕方ないですが、初めからやる気がないようでは困ります。
次のコラム以降で紹介するように、刑事手続は権力維持のためにあるのが本質ですが、国民のために存在するとしたら、(民主主義国家の表向きの建前です)その程度の説明責任があるのではないでしょうか?
08/21/03「起訴独占主義(刑事訴訟法1)」以下のコラムで起訴独占主義の説明もしましたが、こうしたことは、検察が独占しているのであって、国民には、反射的利益しかないのは法律上自明であるとも言えるでしょう。
(自分達には独占権があるのだから「何も言うな、質問するな」と言われれば、ギャフンですが・・・法的には兎も角、政治上の説明責任を言っているのです。)



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