03/20/06

詐欺罪・不法の利益1(刑法37)

前回コラムで、詐欺罪の変遷を紹介しましたが、財物移転だけでは処罰しきれない犯罪が増えて来たので、第2項を加えて「不法の利益」と言う分かり難い分野をもうけてこれも処罰するようになってきたのです。
前置きだけが長くなっていますが、財物とは何かについて直ぐこの後で説明します。
不法利益では何のことか分かり難いと言うだけでは、読者の方にはなお分からないでしょうから、いちばん簡単な類型だけでも紹介しておきますと、
   「借金している人(債務者)が、債権者を欺いて債務を免れた場合」
が、この不法の利益を得た場合に当たると言う判例があります。
(その他いろんなパターンがありますので、これだけと言う意味では有りません。)
ただし、居留守を使ったり、その場限りの嘘を言ってその隙に逃げてしまっただけでは、利益を得たとまでいえないと言うのが判例です。
ただし、詐欺罪では、「財産上の」と言う定義が被っていますので、財産に関係ない利益を得ても詐欺にはなりません。
女性にお馴染みの、「結婚詐欺」と言う言葉がありますが、
     「こんな男と思わなかった」
     「親と同居の約束でなかったのに」
と言うだけでは、詐欺になりません。
刑事で(結婚)詐欺罪になるのは、「結婚する気がないのにあるかの如く結婚しようと欺いて」、貢がせて、「財産上不法の利益を得た」場合だけです。
男の方は、叶わぬ夢を見てせっせと貢ぐことが多いですが、その結果振られてしまっても、その程度では詐欺になりません。
「結婚したら、真面目に働く」とか「結婚したら2度とサラ金に借金しない」
などの約束で結婚したのに、結婚後もパチンコ狂いで借金だらけになった場合は、何となく財産上の利害に関係しそうですが、これも、矢張り詐欺罪にはなりません。
騙した内容が違うからでしょう。
詐欺には相手を騙す行為が必要ですが、結婚してくれたら子供の面倒を見るとかパチンコしないと言うのは、許された誤差の範囲として駄目なのです。
騙す・・欺網行為と言うのですが、騙し方、騙された内容によって、千差万別で難しいので、個別事案ごとに考える必要があります。
詐欺には、騙す行為が必要で、どの部分をどのように騙し、騙された場合に詐欺になるかについては、かなり難しいので、これも弁護士に相談する必要があるでしょう。
錯誤内容を分類すると、要素の錯誤と縁由の錯誤・動機の錯誤などがありますが、民法のコラムで機会があれば、詳細を説明しましょう。



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