03/31/05
夫婦別姓17(無能力制度とインポテンツの違い)民法133
氏統一の歴史を振り返れば、女性の形式的地位が弱く、実質的に強すぎたのが原因で、夫婦の氏統一になったと言うのですから、今から考えれば不思議なことでした。
逆に実質形式共に女性の地位が低かった上級武家や、韓国・中国などでは、別姓・別氏で何ら不都合がなかったのです。
この別氏論と妻の無能力制度が裏返しで繋がっていたのですから、面白いですね。
どう言うことかと言うと、「妻の無能力制度」とは、単に行為無能力者として法律効果が認められないと言うだけでなく、妻が独立の財産を有している場合に、夫がその管理・処分権を行使できる制度だったです。
3月29日・・・2 「夫婦別姓14(上流の家と庶民の家2)妻の無能力と持参金の処分権」のコラムで紹介しましたが、西洋ではこれが普通でしたから、誰でも知っている身近な概念でしょう。
しかし、日本ではこの規定が輸入されたものの、庶民には妻の固有財産がなかったことと、妻の能力が高かったので、明治民法に規定されても、誰も実際に使うことがなく、死文化していたのです。
皆さんもお聞きになったことがあっても、身近な実例がないのでピンと来難いでしょう。
律令で入ってきた別姓が、実際無視されていたので、今になると姓と氏の区別が分りにくいのと同じです。
ここで無能力制度の意味をおさらいしておきましょう。
12/24/02「行為無能力者と意思無能力者(民法27)」前後あるいは12/15/02「成年被後見人(民法22)」のコラム等で紹介しましたが 、今でも無能力制度と言うのは、結局その人の財産管理・処分権のことです。
財産管理・処分権のための制度を裏返して言えば、(財産管理・処分の)無能力者制度と言うわけです。
現在の成年被後見人や補佐人の制度は、平成11年の改正までは禁治産、準禁治産と言う条文であったことも紹介しました。
「財産を治めるのを禁じる」と言うのが本来の意味で、そのために、一定の者を無能力者としていたのです。
無能力とは性的無能力=インポテンツのことではなく、財産処分能力のないことを意味する言葉なのです。
無能力制度は財産法の概念であって、婚姻能力がないことではないのですから、勿論婚姻も出来ますし、婚姻や離婚など身分関係では、法定代理人=後見人や親権者が本人に代わって決めることはできません。
民法を見ておきましょう。
民法
第737条 未成年の子が婚姻をするには、父母の同意を得なければならない。
2 父母の一方が同意しないときは、他の一方の同意だけで足りる。父母の一方が知れないとき、死亡したとき、又はその意思を表示することができないときも、同様である。
第738条 成年被後見人が婚姻をするには、その成年後見人の同意を要しない。
このように、婚姻などでは未成年者は、父母の同意で足りる・すなわち、父母が代わって意思表示するのではなく、本人が自分で意思表示し、これに別の人間である父母が同意する権利があるだけです。
成年被後見人にいたっては、後見人の同意すら必要ないのです。
無能力制度とは、財産管理・処分能力であることが分ったでしょうか?
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