02/10/07
苦役と間接強制(民法179)
強制には直接強制と間接強制がありますが、一旦働いてこなければ保護費を支給しない運用は、間接的強制にあたるでしょうが、それも許されないかの問題です。
強制執行の方法として間接強制の方法が昔からあります。
強制執行の関係条文が民法にあるのです。
こう言う場合、形式的には民法内にありますが、実質的意味の強制執行法とも言います。
実質的意味の刑法とか商法などの概念を以前紹介しましたが、これもその1例です。
民法を紹介しましょう。
414条第2項が間接強制を定めた規定です。
判決を得たからと言って、勝った方が、被告に対して、作為・・・「何々をしろ」と言う直接的な強制執行をすることは出来ません。
牛や馬みたいに、直接ムチで叩いて歩かせたり荷物を運ばせたりする強制は、出来ないのが近代法の原理です。
負けた方が判決に従わないときは、第2項に書いてあるように相手の費用で自分が代わってやれると言うだけです。
実際には、建物収去の判決が出たから「建物を収去せよ」と言っても、被告が壊してくれなけれないときに、解体業者に対して、
「判決で相手から費用が取れることになっているから相手の費用でやってくれ」
と言っても解体屋としては、どこの誰かわからない人が払ってくれるかどうか分からないのでは、引き受けてくれません。
結局、自分がその費用を払って解体業者に頼んで実行し、その費用を相手に請求することが出来ると言うだけです。
相手が金を取られるのが厭ならば、自分でやるしかないと言うだけの話で、金銭で間接的に強制するのです。
「お金が欲しければ働かなければならない」と言うのは、国民等しく間接的に強制されていることであって、貧乏人だけの話では有りません。
勉強しなければ大学にはいれないと言うのも、間接的に強制されているのです。
紹介した事業に従事した後でなければ、生活保護費を支給しないと言う運用が絶対でなく、実情に応じて運用する・・原則(例外もある)でしかなければ、憲法違反にはならないのではないでしょうか?
民法(履行の強制)
第414条 債務者が任意に債務の履行をしないときは、債権者は、その強制履行を裁判所に請求することができる。ただし、債務の性質がこれを許さないときは、この限りでない。
2 債務の性質が強制履行を許さない場合において、その債務が作為を目的とするときは、債権者は、債務者の費用で第三者にこれをさせることを裁判所に請求することができる。ただし、法律行為を目的とする債務については、裁判をもって債務者の意思表示に代えることができる。
3 不作為を目的とする債務については、債務者の費用で、債務者がした行為の結果を除去し、又は将来のため適当な処分をすることを裁判所に請求することができる。
4 前3項の規定は、損害賠償の請求を妨げない。
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