02/06/07
コンプライアンスと「法の不知は許さず」の妥当範囲2(刑法71)
我々弁護士でも証券取引法やその関連規則の詳細や建築基準関連法の詳細について・・例えば耐震偽装など・・・は全く知らないのが普通です。
その事件を担当して、始めて詳細基準を知るのが普通です。
それでも読んだら分かると言うだけで、議論の都度資料を見ながらでなければ、細かすぎて直ぐに忘れてしまいますよ!
専門家でも、議論の都度細かいデータなど引っ張りださないときっちり覚えている訳ではないのですから、トップが1級建築士だったとしても、あるいは元証券マンだったとしても、あるいは公認会計士の資格を持っていても、個別案件が、会議資料として出て来ただけで、条例や証券取引法令などに適合しているかどうかまでは、わかりません。
家に持ち帰ってゆっくり見ないと分からないのが普通です。
トップの関心は、企業進出や出店の成否にあるだけで、会計原則に合致しているかこれが、出店予定の地方の県条例やどうかには本来関心がないのです。
そして、その関心の持ち方は、社会のあり方として正しいと思います。
と言う訳で大手企業トップが、決裁したからと言って、一々刑事責任を問われていたのでは社会が持たないでしょう。
勿論、検察は、
「そういう場合には、全部が全部立件しませんから安心してください」
と言うのでしょうが、検察のサジ加減次第と言うのでは、ホリエモンのように狙われたらおしまいですから、怖いのです。
検察が、そういう場合立件しないと言うならば、知らなかった場合処罰しないと法で明記して何故悪いの?と言うことです。
法の明記を嫌がり、検察のサジ加減を残したいと言うのでは、法治国家とは言えないでしょう。
裁判になってしまえば、具体的な法令違反を認識していたかどうかは、有罪無罪の分かれ目ではなく、(法の不知は許されないのですから)情状として刑が軽くなるかどうかだけです。
工場進出でもなんでもそうですが、トップは合法的に部下がやってくれることを前提にゴーサインを出すのでしょう。
それが違法建築かどうかどうかまで、知らなかったではすまないというのでは困ります。
この設計図で、建築基準法その他法令をクリアーしているでしょうね?と質問して、「はい」と答えられれば、それ以上建築法規に詳しくないトップは、まさか違法な建築だとは思わないでしょうから、ゴーサインを出すのです。
トップに求められている判断は、工場設置や新店舗進出の経済的成否が中心であって、それが消防法規等に違反しているかどうかではありません。
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