02/26/06
今の社会的用語では、天然果実とは果物の意味ですが、果実1のコラムで書いたように、もとは原因結果を表す意味で用いられたものでしょうし、法律が想定しているのは、果物と言うよりは、取引直後にヤギや牛の子供が産まれた場合の子のことですから、取引後に産まれた子の権利帰属の規定になります。
この規定は、多分ローマ法由来のものでしょうから、妊娠中の奴隷取引も含まれたでしょう。
この規定によって取り引き後に産まれた子供は、買主の物となりますので、もう少しで子供の生まれそうな牛やヤギの売買では、その辺を含めて売買価格をつけておく必要があります。
株式の売買では、配当直前と直後の価格差のようなものです。
株の取引後配当があったときは、基準日(株式会社法のコラムを書くときに、詳しく説明しましょう)の株式名義人が配当を受け取れますが、売主が、自分が売る前に利益が出ていたのだから、その配当の何割を寄越せとは、言えないのもこの規定によることになるでしょう。
ついでに不動産売買実務を紹介しますと、公租公課の負担を所有権移転登記日=引渡し日を規準に日割り清算する特約にすることが多いのです。
(最終代金決済日に、日割り計算分の支払いをするのが商慣習です。)
このような特約が必要とされるのは、固定資産税等の負担は、この法定果実の考えが直ちに適用できない裏版・・・マイナスの負担だからでしょう。
ついでに、民法は、明治29年に制定されたもので、その前はボワソナードと言うパリ大学教授が中心になって草案を作ってきました。
これがボワソナード民法、または旧民法と言われるものです。
ボワソナードについては、08/09/05「検察官11とフランスの代官(Procureur)2」や民法典論争などで紹介しています。
現行民法も、こうした経過からフランス法・・ナポレオン法典やドイツ民法の翻訳語が多いのですが、この「果実」と言う法律語は、ナポレオン法典そのものの翻訳か、或いは、ナポレオン法典やドイツ法にはもっと違った用語、例えば、牧畜に関して子供が産まれた場合の用語が書かれていたのか知りたいものです。
この点は事務所に行って、コンメンタールなどを見れば書いてあるかもしれませんが、いつも書くように、これは仕事ではありませんので、うろ覚えのコラムと思ってください。
地中海では、オリーブなど果樹園が盛んであったようでもありますが、法を必要とするような取引としては、果樹園の売買よりも、牧畜類の売買の方が頻度も多く重要であったでしょう。
その逆に日本では、博労という専門業者がいましたが、牧畜の取引などは滅多になく、基本法の民法で書くほど社会の基本的行為ではありませんし、明治の初めの農地と言えば水田くらいでしたから、果樹園の取引も皆無に近かったでしょう。
水田売買の場合、植え付けている稲立毛の権利は、土地の一部なのか、別の動産なのかと言う理論で解決できるのです。
留学経験者にとっては、西洋の牧畜取引の実態を知っていたとしても、日本社会に当てはめる用語に困ったでしょう。
せいぜい日本で考えられるのは果実であろうか・・これなら国民にも分かり良いと言うことで、「果実収取権」として統一したものではないでしょうか?
しかし、日本では、今のように果物をみんなが食べる時代ではなかったのですから、果樹園など今のように多くは有りませんでしたし、その売買となればさらに少なかったでしょう。
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