02/22/06

・・正当な補償6( 財産権とは?)憲法141

個人補償の薄い思想的根拠について、もう一度戻りましょう。
明治維新政府は、江戸時代まで上級武家だけで妥当していた儒教道徳を、武家でない国民一般にまで強制するようになったことを、05/28/03「男尊女卑の思想8(明治の思想1)」以下や、12/01/05「明治以降の儒教的社会の到来3(廃仏毀釈1と儒教)」などで書いてきました。
一般国民は家禄を貰っている家臣でもないのに、江戸時代の家臣同様の価値観を強制され、(イザ鎌倉の精神で)徴兵制の思想的根拠とされてしまったのです。
徴兵制は、古代の防人以来、絶えてなかったのですから、農民や一般人にとってはいきなり武士の道徳を強制されて、徴兵されたのは、晴天の霹靂みたいな災難だったでしょう。
日露戦争時に徴兵された弟のために、謳った与謝野晶子の「君死に給うことなかれ」の詩を、05/28/03「男尊女卑の思想8(明治の思想1)」以下のコラムで紹介しましたが、その詩にあるように「自分達は武士ではないぞ!」と言うのが、抵抗の表明になったのです。
中世の西洋でも、王様はしょっちゅう戦争していましたが、それは、騎士と傭兵によるものであって、一般人には関係のないものでした。
日本でも、農民はおにぎりを食べながら見物していたと言われます。
ナポレオン以来、国民国家と言うヘンな思想が生まれて、国民軍と言う形式になって行ったのですが、この偏狭なナショナリズムが悲惨な戦争を引き起こし、あるいは各地の民族紛争を作り出しているお化けの正体です。
個人は、江戸時代の旗本や御家人のように家禄をもらっていないのですから、団体か個人の区別なく、正当な保障をすべきでしょう。
憲法では私有財産権が保障され(これが資本主義国のあかしです)、公用に用いるためには、正当な補償をしなければなりません。
憲法では、財産権と言うだけで、平和憲法の宣言で、徴兵の余地がなくなったこともあるでしょうが、国民の徴用に対する補償が書かれていません。
しかし、蓄積財産(ストック)だけでなく、時間(フローの収入)が大きな要素を占める現在社会(タイム、イズ、マネーの時代です)では、これの侵害に対する補償を無視しているのでは、正義に反するのではないでしょうか?
もしも、ストックとしての財産侵害の補償しか憲法が見ていないとするならば、この面で現憲法は時代遅れですから、憲法改正の必要があることになります。
憲法はどうであれ、ずっと前から交通事故の損害賠償では、壊された車の賠償や治療費だけでなく、フローの収支である休業損害も損害の対象にしていることはご承知のとおりです。
憲法を見ておきましょう。
憲法
第29条 財産権は、これを侵してはならない。
2 財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。
3 私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。



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